新たに始まった不定期連載企画「データで見る訪販市場」では、訪販市場のさまざまな事柄をデータで分析する。今回のテーマは「ネットワークビジネス(NB)の相談件数」だ。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた相談件数のデータによると、直近の2024年度の「マルチ取引」の相談件数は、07年度のピーク時の6分の1にとどまっている。分析結果からは、若者の相談件数が近年激減していることも分かった。
■24年度は4117件に
国民生活センター(国セン)では毎年、「PIO―NETにみる消費生活相談の概要」を公表している。今回は、13~24年度の同資料を、「NBの相談件数」という切り口で分析してみた。
国センでは、NBを含む「マルチ取引」の相談件数を公表している。必ずしも特定商取引法上の「連鎖販売取引」と同義ではないが、これまでの法改正の議論では、「マルチ取引」の相談件数が多いことが、連鎖販売取引の規制強化の理由の一つとして挙げられてきた。
「マルチ取引」の相談件数が多いことを理由に、「トラブルの多い業態」と特別視されてきたことを考えると、この件数が「今どうなっているか」を知ることは大変有用だ。
まずはグラフ1を見ていただきたい。同資料でさかのぼることができる2004年度からの「マルチ取引」の相談件数の推移を見ると、07年度の2万4322件をピークに減少傾向に転じていることが分かる。12年度から20年度までは1万件前後の件数で膠着状態だったが、コロナの20年度以降、一気に減少に転じていることが分かる。直近の2024年度の「マルチ取引」の相談件数は4117件。実にピーク時の6分の1の件数になっている。
■「モノあり」も激減
近年は、仮想通貨や投資そのものなどを商材にした、いわゆる「モノなしマルチ」の被害が増加していると言われている。こうした「モノなしマルチ」の相談件数も「マルチ取引」の中には含まれている。
(続きは、「日本流通産業新聞」11月20日号で)
【データで見る訪販市場 <第1回>】 「相談の多いNB」は本当?/激減でピーク時の6分の1に(2025年11月20日号)
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