【〈特商法改正〉数字の妥当性】〈最終回〉 「訪問販売」相談は5年で11%減/適用除外が約3割

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「訪問販売」に関する苦情相談件数

特定商取引法(特商法)の見直しにおいて、消費生活センターに寄せられる苦情や相談件数が問題視されている訪問販売。訪問販売に対する規制強化の根拠としてもたびたび、相談件数が高止まりしていると指摘されてきた。しかし、訪問販売に関する苦情や相談の内訳を細かく分析すると、異なる実態が見えてくる。

 国民生活センター(国セン)が8月20日に公表した14年度の訪問販売に関する苦情相談件数は、前年度比2・4%減の8万9050件だった。単年度の件数は減少傾向にあるものの、08年度以降は約9万~10万件程度となり横ばいで推移している。
 そのため、多くの訪販会社が自主的に消費者保護の取り組みを進めていても、「毎年10万件近い相談が寄せられていることは事実」(消費者庁取引対策課・山田正人課長)と反論されてしまう場面も少なくない。
 しかし、国センが訪問販売に関する苦情や相談として集計している案件の中には、「テレビ放送サービス」や「インターネット接続回線」など、特商法の規制を受けない適用除外の商品や役務も含まれている。
 14年度における「訪問販売」に関する苦情・相談のうち、商品別で上位20項目の合計は5万8111件だった。この中で適用除外に該当する可能性が高い案件は1万6218件。その割合は27・9%に上る。
 つまり、国センの統計上は訪問販売のトラブルとして処理されている苦情や相談のうち、上位20項目においては、約3割が特商法とは関係ないのが実態だ。


適用除外は45%増加

 過去5年間に全国の消費生活センターに寄せられた訪問販売に関する苦情や相談のうち、商品・役務別で上位20項目の件数を集計した(別表参照)。
 件数は横ばいだが、内訳を見ると、適用除外に該当する相談が年々増えているのが分かる。
 適用除外に該当する相談件数は10年度から14年度までの5年間で1・45倍に増加。一方、特商法の規制を受ける商品や役務の相談件数は減少しており、14年度は10年度比11・9%減の4万1893件となっている。
 「訪問販売による消費者被害」として一括りにされている苦情や相談の件数をつぶさに調べると、特商法の規制を受けている訪問販売に関する苦情や相談は減っていて、適用除外の商品に関する相談件数が増えているのが実態だ。
 特商法を改正して訪問販売に対する規制を強化しても、適用除外の商品や役務に関する消費者被害を防ぐことはできない。むしろ、まっとうに商売している事業者の活動を阻害するだけだ。
 特商法の見直しに向けて議論している消費者委員会・特商法専門調査会は8月25日に中間報告をまとめた。法改正に向けた議論は煮詰まっておらず、9月以降は委員を選任し直して調査会を継続する。
 消費者被害を減らすために特商法の在り方を見直すことは必要だ。しかし、その際には消費者相談の数字をあらためて精査し、問題点を明確にしてから議論を再開する必要がある。(おわり)

「訪問販売」に関する苦情相談件数の、商品・役務別の上位20項目の年次推移

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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