【第23回 水関連製品】 <インタビュー> 日本トリム 森澤紳勝代表取締役会長兼CEO/透析病院運営の参入も視野に(2023年4月27日・5月4日合併号)

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森澤紳勝氏

森澤紳勝氏

 電解水素水整水器の職域販売を展開する日本トリムはこのほど、本紙の取材に対して、電解水素水を使用した血液透析「電解水透析」を行う病院の運営に参入したい意向を明らかにした。透析を行う、病院やクリニックなどと、資本提携したり、病院・クリニックのM&Aを行ったりする計画があるとしている。日本トリムでは、健康経営を行う企業やスポーツチームなどを経由して、新たな顧客に対して整水器を販売する販路が出来つつあるという。職域販売のセミナー数も回復してきている。「コロナ後の業績の見通しは明るい」と話す森澤紳勝代表取締役会長兼CEOに、22年の事業を振り返ってもらうとともに、23年以降の事業戦略について聞いた。併せて、代表取締役会長兼CEOに就任した経緯についても聞いた。

■会長として経営を継続

 ─22年6月に、代表取締役社長から、代表取締役会長兼CEOに就任した。経営体制に変化はあったか。
 当社の経営体制に大きな変化はない。引き続き、私が当社のトップとして、さまざまな事業の経営判断を行っている。
 代表取締役社長には、田原周夫前専務取締役が就任した。田原君には、2~3年かけて、ゆっくり社長としての実力を身に付けてもらいたい。将来的に会社の業績を伸ばし、電解水素水整水器と電解水素水を、日本全国に広めていく人間になってもらいたいと願っている。
 日本トリムは、私が創業し、40年以上経営してきた。いまや、数百億円の資産価値がある会社へと成長させることができた。
 多くの創業者がそうであったように、経営を別の人間に引き継ぐことには、相当な重みがある。「息子にも譲りたくない」と手記に残す経営者もいた。
 私も同じ思いがあったが、私と価値観が近い田原を後継者として選び、将来を託すことにした。日本トリムの体制や、社内の雰囲気が、すぐに一気に変わることはない。ただ、徐々に若い力に任せることになるだろう。


■健康経営とスポーツが切り口

 ─22年の整水器の販売事業を振り返ってもらいたい。
 コロナ禍の営業活動の難しさはかなり払しょくされてきた。職域販売のセミナーの開催数はかなり回復してきている。
 電解水素水整水器は、いつの時代もニーズがある商品だと、私は思っている。コロナ禍では、従来の営業手法を行うことが難しかったが、コロナ禍においてもニーズは変わらなかったと考えている。
 当社では、コロナ以前から、企業の営業所などにまずは一括導入してもらい、そこで電解水素水のメリットを体感した従業員に、今度は自宅に導入してもらうという「BtoBtoC」の営業も行ってきた。
 健康経営の意識が高まっていることにより、企業の整水器の一括導入が進んでいる。トヨタや日産といった、自動車ディーラーで導入実績が多い。1000台以上を導入してくれた事例もある。現在、1500社以上の企業に導入されている。
 スポーツチーム経由での販売も進んでいる。サッカーのなでしこリーグや、サッカーU-15のリーグのチーム、大学野球チームなどに、当社の電解水素水整水器を利用してもらうケースが増えている。選手が自宅に導入したり、選手の親・兄弟などの家族が導入したりするケースも増えている。
 当社では2020年に、立命館大学と共同で、電解水素水の飲用で、持久運動のエネルギー消費量が有意に低減するという内容の論文を発表した。電解水素水のエビデンスがあることから、スポーツの強豪校の導入に結び付いている。スポーツチーム同士の横のつながりで、整水器の導入の話が進むケースも増えている。
 オウンドメディア「トリムミズラボ」の運営も引き続き行っており、サイトの閲覧数も順調に伸びている。
 定期的に、インスタグラムでのライブ配信も行っている。オンライン上での認知度も高まっている。
 ─さまざまな資材や原料の価格が上がっているが、影響は。
 原料価格などの値上がりを受け、当社はこのほど、製品価格の改定を行った。
 メインの電解水素水整水器については3月1日に、5~15%値上げした。4月1日には、整水器で使用する浄水カートリッジと、取り付け・メンテナンス部品全般を、5~25%値上げした。
 整水器で使用する半導体やプラチナの原料の価格が顕著に上がっている。
 ただ、値上げによる影響はすでにピークを過ぎており、今後影響が出ることはないと見込んでいる。


■透析病院運営への参入も視野に

 ─23年以降の新たな取り組みについて聞きたい。
 現在、透析を行う病院を当社で保有することを、具体的に検討している。電解水素水を使った透析を行う病院の運営にかかわっていきたい。電解水素水整水器を販売するだけでなく、医療の現場で電解水素水を活用するノウハウを蓄積していく。
 現在、具体的な病院やクリニックの選定を行っており、近い将来、M&Aや資本提携を行いたいと考えている。
 電解水透析を、電解水素水整水器の販売に並ぶ、成長の柱としていきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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