【進化するクラウドファンディング】 企業の活用が増加マーケティングに親和性発揮

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 開発商品の販促やテストマーケティングの場として、企業がクラウドファンディング(CF)を活用するケースが増えてきている。一般流通前のリスクが少ない状況で、潜在的な需要の調査や販促が行えるからだ。「購入型クラウドファンディング」に分類されるCFサイトでは、Eコマースに近い形で事業者が新商品を販売するケースも多い。そうした事業者側のニーズに応じ、CFサイトの運営側も提供サービスを多様化し独自の強みを打ち出している。寄付の募集や資金調達手段としてのイメージがあるCFだが、今後はマーケティングツールとしての役割もより大きくなりそうだ。

■メーカーの挑戦の場に

 少ないリスクで新規事業のマーケティングを行える点を活用し、CF上で今までになかった挑戦を行うメーカーも多数ある。
 ナノ・ユニバースがマネキンメーカーのエスティファイブと共同で開発した「ECサイト撮影用マネキン」や、東京の傘職人たちが、それぞれの得意とする部品を結集させて製作した「東京洋傘ゼロワン」などはその顕著な例と言える。いずれもCFサイト上で大きな反響と資金を集め、一般流通に向けた準備を進めている。
 このように既存の流通経路では成立させるのが困難な新事業の挑戦の場として、CFを活用することが定番となりつつある。
 そうした変化はCFを利用するユーザーの意識にも波及している。各CFサイトに掲載されている商品は一般市場に流通する前段階の「とがった商品」。その革新性や、ある種の未完成さに引かれ、セレクトショップのような感覚でCFサイトを利用するユーザーも少なくない。


■CFサイトも多様化

 企業側のニーズに対応するためCFサイト側も、提供サービスを多様化して強みを打ち出している。
 業界大手のマクアケは自社CFサービス掲載前後の支援体制を拡充。CF掲載以前の商品開発段階でのフォローや、掲載終了後の自社ECや実店舗での販路展開など、新規事業の成功を一気通貫で支援している。
 開発力を持つ大手メーカーや、発信力を持つメディア企業が、自社独自のCFサービスを開始する例も増えてきている。
 CFサイト「ENjiNE(エンジン)」を運営するRelic(レリック、本社東京都、北嶋貴朗CEO)は、そうしたニーズに向けCFサイト構築サービスを提供している。サービスを導入したCFサイト間でのプロジェクトの相互掲載にも対応。複数のサイトに掲載することで、多様なテストマーケティングを可能にしている。

■掲載記事
・〈購入型クラウドファンディングの概要〉
・マクアケ〈「Makuake」〉/7000件超を支援/掲載前後のフォローも拡充
・Relic(レリック)/CF構築サービス/導入サイト間で相互集客
・ロケットメイカーズ〈「ロケットファクトリー」〉/レビュー機能を搭載/テストマーケティングに活用

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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