〈改正特商法・定期購入規制〉 ”LPでの一体表示”義務化で収益減も/システム改修のコスト負担も大きく

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特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討会の様子

特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討会の様子

 消費者庁は、改正特定商取引法案の21年通常国会への提出に向けて着々と準備を進めている。焦点となっている定期購入型通販への規制では、ランディングページ(LP)に、定期契約の価格や条件を”一体”として表示すること(以下”一体表示”)を義務付ける方向で法案化が進みそうだ。”一体表示”が義務付けられれば、定期通販事業者に、大規模なシステム改修やLPの表示の書き換えのコストが発生することになる。「”一体表示”を試験的に行ったところ、CVRが5分の1になった」という事業者もあり、法改正によって売り上げが大幅に減少する企業もありそうだ。健全な事業者も対応策を検討しておく必要がある。

■”一体”ではない表示を禁止

 特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討会が8月にまとめた報告書には、「LPに定期契約の価格や条件を”一体”として表示」することを義務付ける方針が盛り込まれていた。法改正もこの方針に沿って行われるとみられる。報告書では、特商法のガイドラインの見直しに当たって、「広告画面及び申し込み画面において、価格等と契約内容・解約条件を一体として容易に認識できないような表示を禁止すべき」とも記載していた。
 現行の特商法のガイドラインでは、「意に反して契約を申込させる行為」の一つとして、「申込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容が全て表示されず、又はその一部が容易に認識できないほど離れた場所に表示されている」と規定。ガイドラインの違反行為は、指示処分の対象となっていた。
 このガイドラインに、「広告画面に定期契約の価格や条件を”一体”として表示すること」を追加する可能性がある。
 つまり、従来は、最終画面に契約内容を表示する際に”一体”である必要があったが、LPへの表示は「書いてあればよい」という状況だった。法改正後は、LPなどの広告画面にも、”一体表示”が求められることになりそうだ。
 消費者庁は現在、改正特商法の条文やガイドラインの策定を進めている。策定中の内容については明らかにしていないが、「ガイドラインで規定する『顧客の意に反して契約の申し込みをさせる行為』を行う事業者と、報告書が禁止すべきと規定する、『詐欺的定期購入商法』を行う事業者は、同じ部分が多いと考えている」(取引対策課)としている。
 法改正後は、定期型通販のLPで、価格や定期購入の条件などを”一体表示”していない場合、「詐欺的定期購入商法」として厳しく規制される可能性が高いのだ。


■”一体表示”は「近くに」

 では、「価格等と契約内容・解約条件を一体として表示する」という条件を満たすには、どのような表示をすればよいのだろうか。

(続きは、「日本流通産業新聞」12月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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