〈機能性表示食品制度〉 ７社８品目の届け出情報が公に／第１号商品はライオン「ナイスリムエッセンス」

消費者庁は４月１７日、機能性表示食品の第１弾届け出一覧を公表した。届け出番号１番はライオンのラクトフェリン配合の健康食品「ナイスリムエッセンス」となった。そのほかにも、キユーピーやファンケル、キリンビールなど、計７社８品目について、届出情報が公開された。１７日までに１００件以上の届け出があったことが明らかになっているが、１７日に公表された届出情報はわずか８件。届け出内容の不備を指摘されるケースが相次いでいるようだ。

　１７日の消費者庁の発表で明らかになった届け出は７社８品目（＝別表参照）。うちサプリメント形状の加工食品は６品目だった。加工食品分野ではキリンビールのノンアルコール飲料や、キリンビバレッジのお茶にも届け出番号が付与された。
　規制改革会議のメンバーでもある大阪大学大学院の森下竜一教授は「各社かなりしっかり届け出をしているという印象。表示内容についても、トクホと比べてかなり自由度の高い表現をしていると感じる」とし、「大手だけでなく中小企業の届出情報も公開されており、本来の制度の狙い通りになってきているのではないか」（森下教授）としている。一方、「農産物が一件もなかったのは残念」（同）とも話していた。


４月１３日まで、不備ない届け出はゼロ？

　消費者庁の公表によると、最初の届け出受理日は４月１３日。４月１日の受付開始から約１０日間が経過してから最初の受理をしたことになる。
　４月１日に届け出がされたことが明らかになっている案件の中にも、消費者庁による情報開示がまだ行われていないものがある。
　この件について消費者庁では「必要な書類や記載に不備がないものを最初に認めたのが４月１３日ということだ」（食品表示企画課）としている。
　４月１日に届け出を行い、１３日に届け出を受理されたキユーピーでは「一度消費者庁から、不備などを指摘され、届け出を返送された。消費者庁に電話で問い合わせを行い、届け出様式をそろえて再提出した」（広報部）と言う。消費者庁から返送があった時期、指摘された不備の内容などについては明らかにしなかった。
　同社だけでなく、他の受理案件に対しても、修正の指示は少なからずあったようだ。４月１日に届け出がされたことが明らかになっている案件の中にも、一部の文書の作成日が４月２日以降になっているものが見受けられた。
　消費者庁は、届け出のチェックについて、細かい内容や流れまでは明らかにしていないが、先行して届け出を行った企業が不利にならないよう配慮しているようにも見受けられる。
　キユーピーによると、消費者庁に不備の内容について問い合わせた際、「消費者庁側からは、かなり丁寧な説明をしてもらった上で『こうしてはいかがですか？』といった建設的な提案までしてもらった」（同）と言う。
　届け出のチェックの順番について消費者庁では、「４月１日に到着した届け出からチェックを行い、必要に応じて届け出者に修正依頼などをお願いしている」（食品表示対策課）としている。届け出番号を付与する順番についても「不備のない届け出の確認が取れ次第、番号をお返ししているとしかお伝えできない」（同）と言う。
　機能性表示食品の第１号企業となったライオンでは、届け出内容の不備を指摘されたかどうかについて「回答は控える」（コーポレートコミュニケーションセンター）とコメントしている。
　前出の森下教授は「多方面の話を聞く限り、書類に不備が多すぎて消費者庁の作業が遅れているようだ。ただ、聞く限りは（機能性の）表現についての指摘を受けたケースは少なそうだ」と言う。レアケースではあるが、機能性の表現内容が問題視されたケースもあるそうだ。「ある会社さんは『血圧を調節』という表現でＮＧという判断を受けたと聞いている。『調節』では、血圧が上がるのか下がるのかが分からないからという理由だったようだ。無難な表現にしようとして、曖昧な書き方にした結果ＮＧになることもあるようだ」（森下教授）と話していた。
　一部報道で「抗酸化作用」の表現で４月１日に届け出をした企業があるとされているが、今回の消費者庁の情報公開で「抗酸化」をうたう食品はなかった。「抗酸化」の機能性表示について森下教授は「エビデンスをきちんと用意すれば『抗酸化』は十分可能だと思う。ただ、『抗酸化したからどうなる』という表現をするにあたって、曖昧な書き方をするなどして、つまずいてる企業もあるのかもしれない」とした。
　本紙が２０日１３時ごろに消費者庁に取材をしたところ、「次にいつ届け出内容を開示するかについてはお答えできない」（同）としている。

(続きは本紙4月23日号で)