〈バレンタインデー向けEC〉 店頭からネットにシフトへ/百貨店やメーカーもEC拡大

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 20年のバレンタインデー企画で、百貨店のEC事業者は店頭からネットに購入がシフトしている動きを感じているようだ。阪急百貨店では、予約受付開始から5分で限定300個が完売となった商品もあった。高島屋では2月5日現在、前年比2割増のシーズン中の売り上げを見込んでいる。ハースト婦人画報の発表によると、1個当たりの平均価格と購入個数は上昇しており、ギフトEC各社も今年のバレンタインデーは前年を上回る売り上げを見込む。ヤフーは500円未満の「プチギフト」が昨年より約2倍売れていると発表した。20年のバレンタインデーEC市場は好調な結果が予想される。

■自家需要の高まり意識

 阪急百貨店では、「自分へのご褒美」「シェアチョコ」「お配り」など、贈る相手やシーンに合わせた企画を組んでECサイト上での商品選びをサポートしている。店舗を訪れる顧客は自家需要が多いのに対して、ECは自家需要とギフト需要の両方で利用されるため、顧客ニーズに対応できるようにした。近畿圏以外に住む顧客獲得を狙い、ウェブ広告の出稿を強化したことも売り上げ伸長につながった。
 大丸松坂屋百貨店も、「自分へのご褒美が増えている」(営業本部)としている。人気を集めているのは、冬限定のショコラスイーツや、個性派のキャラクターチョコ。タレントの菊地亜美さんを起用した、インスタグラムからのEC送客や動画配信を行った。
 イーギフトのサービスを手掛けるギフティにとって、バレンタインデーはクリスマスに次いで売り上げが見込めるイベントになっている。今年はチョコレートブランド4社を横断したキャンペーンを開催。前年同期より2割増の売り上げを予想している。
 イベントでは、贈った人に抽選で4社のいずれかのチョコをプレゼントする内容とし、自家需要も満たす企画となっている。「友チョコ」や、世話になっている人への「義理チョコ」を購入する顧客がターゲットだ。
 「百貨店など店舗にバレンタインデーのギフトを買いに行く人は、贈答用と一緒に自分用にも購入するケースが多い」(ギフティ広報)と言う。自分にもチョコが贈られる抽選特典は、付加価値として需要が高いと見込んでいる。
 訴求はツイッターやメルマガが中心。ブランドごとの特集記事を配信し、認知拡大を狙う。


■老舗もEC強化目立つ

 阪神百貨店では、阪神タイガースをモチーフにしたチョコの売れ行きが好調だ。店内の催事会場でしか食べられないイートイン商品は店頭で、贈答用のバレンタインデーチョコはECで購入するという動きが明確に表れているという。
 法人向けにギフトECのプラットフォームを提供しているギフトパッド(本社東京都、園田幸央社長)は、「店頭販売や卸売りの販路を主軸としている大手菓子メーカーも、ここ2~3年はソーシャルギフト(EC)を強化している傾向が目立っている」(園社長)としている。ロッテは今年、「コアラのマーチ」の詰め合わせに特別なノベルティを追加したセットや、イーギフトの発行に乗り出した。ギフトパッドの自社ECにも卸しており、「目玉商品の一つ」(同)だという。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月6日号で)

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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