消費者庁/「つけ込み型」勧誘に取消権/ぜい弱性の多様化も論点に

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 消費者庁は1月27日、「消費者契約に関する検討会」を開催し、消費者契約法の改正に向け、「つけ込み型」勧誘に対する取消権について議論した。高齢者や認知力に問題がある「継続的ぜい弱性」を有する消費者だけでなく、さまざまな要因で一時的に合理的判断ができなくなる「一時的ぜい弱性」など、多様化する「ぜい弱性」も論点になった。
 検討会で消費者庁は、「つけ込み型」勧誘により、不当な契約をした場合に取消ができる権利を設ける必要性を示した。「つけ込み型」勧誘とは、合理的な判断ができない「ぜい弱性」を有する消費者に対し、事業者が「ぜい弱性」を不当に利用して勧誘を行い、契約を締結すること。
 消費者庁はその事例として、「女性に事務所のような場所に連れていかれ、宝石購入の勧誘を受けた。購入を断ったが、5時間にわたり勧誘され、断り切れずにネックレスを購入した」などを挙げた。
 その上で「高齢者や認知力に乏しい消費者を狙った、従来の『つけ込み型』勧誘による被害だけでなく、長時間の勧誘で一時的に合理的な判断ができなくなる『一時的なぜい弱性』を有する消費者とのトラブルも発生している。取消権を設ける場合、このような消費者に対する対応も必要だ」と強調した。
 委員からは、「『つけ込み型』勧誘に対する規制は必要だが、取消権によって新たなビジネスの機会を損なう可能性もある」「その場で長期的な損得を判断するのが難しい契約もあるので、慎重になる必要がある」などの意見も出た。
 次回の会合は2月10日に開催し、引き続き消費者契約についての議論を行う予定だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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