〈東京地裁〉 リゾネットの請求を棄却/「不当判決」とし、控訴の構え

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 リゾートクラブの会員権のネットワークビジネスを展開するリゾネット(本社東京都、山本夏社長)が、19年3月に受けた、15カ月間の業務停止命令が不服として、行政処分の取り消しを求めていた裁判で、東京地方裁判所は1月24日、「原告の請求を棄却する」という判決を言い渡した。裁判でリゾネットは、「説明会への勧誘はビジネスへの勧誘ではない」「処分の際の弁明の機会が十分でなかった」と主張し、「命令の適法性」と、「手続きの瑕疵(かし、欠陥があること)」の2点を主な争点と主張していた。裁判所は、原告の主張はいずれも「認めがたい」と判断した。リゾネットは、東京地裁の棄却の決定を「不当判決である」と主張。控訴することを検討しているという。

■原告の主張をいずれも認めず

 関東経済産業局(国)は19年3月、勧誘目的の不明示や不実告知があったとして、リゾネットに15カ月間の業務停止命令を行っていた。国は、行政処分において、山本社長ら4人には同期間の業務禁止命令も行っていた。
 リゾネットは国が行った処分が違法であると主張し、処分の取り消しを求めて提訴。取消訴訟中の業務停止命令、業務禁止命令の執行停止の申し立ても併せて行っていた。
 リゾネットが訴えた裁判の争点は大きく分けて二つ。関東経済産業局が下した「命令の適法性」と、関東経済産業局の命令を行った際の「手続きの瑕疵」だ。東京地裁が下した判決では、二つの争点のどちらも、リゾネットの主張が認められなかった。
 「命令の適法性」について、リゾネットは、(1)「勧誘目的の明示義務違反があったか」(2)「宿泊施設に関する不実告知があったか」(3)「命令内容が相当であったか」─などの点について、関東経済産業局の処分内容に反論している。
 関東経済産業局は処分の根拠の一つとして、「消費者Aが16年12月と17年1月ごろ、勤務先で仲が良かった勧誘者Zから、『一緒にご飯でも食べませんか』と誘われた」事例を挙げている。同事例では、「2、3日後に喫茶店でZに会ったところ、本件冊子(概要書面)を見せた上で、『安く旅行に行けてビジネスになるリゾートクラブがある』と誘われた」という。「1週間後に再度、Zからビジネスの話を聞くためにZに会った。そこで、説明会に行くこととした」としている。この事例を含む計5件の事例を関東経済産業局は処分根拠として挙げている。
 リゾネットは、「勧誘目的の明示義務違反」の反論として、「処分の根拠となっている事実について、説明会への参加の呼びかけは、ビジネスへの勧誘には当たらない」と主張した。
 東京地裁は「原告(リゾネット)は説明会への参加の呼びかけは勧誘には当たらないとしているが、『客観的に顧客の意思形成に影響を与えている』と考えられるため、勧誘に該当する」との判断を示した。


■提携施設の有無も「不実告知」と判断

 関東経済産業局は処分の根拠として、「同社の会員は勧誘時に、『リゾネットの会員になれば、会員のみが予約・宿泊できる施設が豊富にある』旨も伝えていたが、実際には、宿泊できる施設の部屋数は会員の総数に対して著しく少なかった」ことを挙げていた。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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