〈訪販各社〉　キャッシュレス化の波来る／スマホで訪問集金など手段も後押し

　１９年４月以降、ポーラやダスキンといった大手がクレジットカード決済の仕組みを一新するなど、訪販業界にもキャッシュレス化の波が押し寄せている。９月１０日には、訪問集金についてＱＲコード決済の提供が開始されるなど、訪販向けキャッシュレス決済手段が、各社から続々とリリースされている。政府が推進するキャッシュレス・消費者還元事業に期待する訪販事業者も増えている。一方で、地方を中心に展開する企業や、高単価商材を扱う訪販企業では、まだまだ現金や振り込みでの決済が主流のようだ。現在のキャッシュレス化の機運に乗って、訪販業界でもさらに、キャッシュレス決済の導入が進みそうだ。

■クレカ決済が急成長の礎

　ポーラは７月、ポーラの路面店サロン「ポーラザビューティー」全６７０店に、クレジットカード決済とＱＲコード決済「ＷｅＣｈａｔ（ウィーチャット）ペイ」ができる端末を導入した。「ポーラザビューティー」ではこれまでもクレジットカード決済が可能だったが、中国インバウンドのキャッシュレス決済の需要を満たすため、リニューアルしたのだという。
　年商が３７７億円を超え、新規顧客数が増加を続ける、宅配水販売のプレミアムウォーターでは、１９年８月末時点で、クレジットカード決済の比率が決済全体の約８割に達しているという。クレジットカード決済はその場で決済が完結するため、顧客にとってはウォーターサーバーの利用をスムーズに開始することができるとしている。
　同社では、ＩＤ決済のＡｍａｚｏｎＰａｙ（アマゾンペイ）や、携帯電話料金に合算して支払いを行うキャリア決済なども導入しており、どちらも利用率が高まっているという。
　同社は決済方法として口座振替も用意している。ただ、現場の営業マンは、なるべく口座振替での契約を受けないようにしているのだという。口座振替は顧客の銀行口座の登録に時間がかかり、顧客のストレスになるケースがあるという。同社は優先的にＩＤ決済やクレジットカード決済を提案している。
　同社では現在、水宅配の契約時に、顧客に自分のスマホ端末を操作してもらい、専用サイトの会員登録と、クレジットカード番号の入力・決済をしてもらっているという。２０年３月期中にカードリーダーを現場に導入する予定。現場でクレジットカード決済が完了できる体制を整える方針だ。
　リフォーム訪販のメッドコミュニケーションズでは、リフォーム事業と、整水器などを販売するヘルスケア事業の両方で、クレジットカード決済を導入している。１９年２月からは交通系電子マネーでの決済も可能にした。現在では、ヘルスケア事業の約３割がクレジットカード決済となっている。リフォーム事業では、商材が高単価であるため６割が振り込みだが、備品の料金や、簡易な修繕費などについては、クレジットカードでの決済比率が高まっているという。
　クレジットカード決済の導入以前は、現金で集金することもあったという。ただ、従業員が現金を取り扱ったり、営業所で現金を管理したりすることのリスクを感じていたという。顧客からは「いまどきクレジットカードも使えないのか」といった批判の声もあったのだとしている。
　メッドコミュニケーションズは、１４年に楽天ペイメントを通じて、ヘルスケア事業の決済方法としてクレジットカード決済を導入した。徐々に決済手段の拡充を進め、リフォーム事業でもクレジットカード決済が行えるようにしたのだとしている。
　クレジットカード決済の導入後は、顧客から「楽天のポイントが貯まってうれしい」といった喜びの声が挙がっているという。
　同社は、消費税率引き上げに伴って実施される「キャッシュレス・消費者還元事業」に、対象事業者として登録しており、大きな期待を寄せているという。同社ではリフォーム事業でもヘルスケア事業でも、数万円から十数万円するような高単価商材をクレジットカード決済で販売することもある。
　「キャッシュレス・消費者還元事業」では、対象事業者から購入したユーザーに、決済金額の５％（フランチャイズ加盟店は２％）が付与される。例えば１０万円の商品を購入すれば、５０００円のポイント還元となる。同社は１０月以降、同事業の対象事業者であることや、ポイントが通常よりも多く還元されることなどを訴えていくとしている。


■支援企業も装備で後押し

　決済サービスを提供する支援企業は、訪販の営業マンが使いやすい決済端末機器やサービスを次々と投入している。

（続きは、「日本流通産業新聞」９月１２日号で）