特商法5年後見直し〉訪販に不招請勧誘規制も/消費者委5人が導入を主張

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 特定商取引法の見直し議論が本格的に始まった。消費者委員会・特定商取引法専門調査会は3月5日、第1回目の委員会を開催し、今後審議する事案について各委員が意見を述べた。16人の委員のうち5人が「不招請勧誘規制」を訪問販売や電話勧誘販売に導入すべきと強く主張。不招請勧誘規制の是非を議論することは、ほぼ確実となった。多くの訪販会社に甚大な影響を与える改正となるだけに、業界から強い反発が予想される。検討会ではこのほか、ネット広告への規制や指定権利制の廃止、いわゆる後出しマルチへの規制なども課題として挙がった。調査会は今年8月までに一定の方向性を示す方針だ。

 訪問販売や電話勧誘販売への「不招請勧誘規制」の導入を主張したのは、有山委員と池本委員、河野委員、花井委員、村委員の5人。多くの委員は、高齢者を中心に消費者被害が後を絶たない現状を指摘、規制の必要性を主張した。
 消費者庁が同調査会で提出した消費者問題の動向に関する資料によると、80歳以上の「認知症等高齢者」の被害は13年度で約7500件。過去5年で2倍以上に増えており、こうした実態が不招請勧誘禁止論の根拠の一つになっている。
 オブザーバーとして参加した国民生活センターの丹野理事は、高齢者に対する電話勧誘や訪問販売の相談が増えていることから、「今、ここで何らかの対策を講じないと無策と言われかねない」と指摘した。
 「不招請勧誘規制」の具体論では委員5人の意見は異なる。村委員は全面的な不招請勧誘禁止を主張。一方、池本委員は適用除外などを設け、地域で受け入れられている訪問販売活動は規制の対象から外すべきとの意見だ。
 花井委員は、事前に登録した電話番号への営業を禁じた米国の法律「ドゥ・ノット・コール制度」に言及するなど、具体的な制度も念頭に置いているとみられる。
 こうした不招請勧誘規制導入論に対し、業界団体は当然ながら強く反発している。欠席のため要望書を書面で提出した日本訪問販売協会副会長の鈴木委員は、訪問販売で不招請勧誘が禁止されれば、まっとうな経済活動が阻害され、多くの女性や高齢者から労働機会を奪うと主張した。
 日本商工会議所理事の栃原委員は、農家が都心で直販を行う新しいビジネスが生まれていることなどに言及し、過度な規制強化が健全な経済発展を阻害しないよう慎重な議論を求めた。
 後藤座長は今後の調査会で取り上げる議題について、「見直しの要望の強いもの、消費者被害の大きいもの、早急な対応が必要なものを優先的に取り扱う」と明言。委員からの言及が最も多かった訪問販売・電話勧誘販売への「不招請勧誘規制」が議論されるのは、ほぼ確実な情勢だ。

(続きは本紙 3月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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