〈ダスキン・ヤクルトの中期計画〉 訪販事業の強化を推進/販売員スキル、接点強化で増収へ

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 ダスキンやヤクルト本社といった大手訪販企業の中期経営計画が進んでいる。ダスキンは16年3月期を初年度とする長期ビジョン「ONE DUSKIN」を策定。19年3月期から第2フェーズに入った。ヤクルト本社は21年3月期を最終年度とする「ヤクルトビジョン2020」を推し進める。両社に共通するのは訪問販売では会うことができない消費者との接点の確保や販売員の労働環境の整備などを盛り込んでいる点。人材確保が企業の大きな経営課題となる中で、訪販企業にとってマンパワーに依存することなく経営課題を解決し成長につなげる考えだ。訪販大手2社の動向を探る。


【〈ダスキン〉 山村社長「成長軌道に手応え」/長期計画「ONEDUSKIN」軸に】

 ダスキンは24年3月期を最終年度とする9カ年の長期ビジョン「ONE DUSKIN」を軸に訪販事業の強化に乗り出している。最初の3年間(16年3月期—18年3月期)を第1フェーズとして「浸透と徹底期」と位置づけた。
 訪販事業において具体的には、販売員が的確に顧客対応ができる「コンシェルジュ」を進めた。コンシェルジュ化の活動をサポートする「コンタクトセンター」の構築や会員制度「ディー・デュエット」の強化も盛り込んだ。販売員の「コンシェルジュ化」の柱になるのが(1)タブレットの活用(2)「ディー・デュエット」の強化(3)販売員(人)のスキルアップ─の三つ。これら三つを複合させることで、消費者の多様なニーズの取り込みを狙っていく。
 第1フェーズの進捗について山村輝治社長は「クリーングループ(訪販事業)については、当初の売り上げ計画に届かなかったが、毎年成長が継続でき、プラス基調になってきたことが大きな成果だ」と話した。減収傾向にあった訪販事業が回復基調にあることに手応えを感じているようだ。
 販売員がタブレット端末を使って、動画などで商品説明ができるようにして、生産性の向上につなげた。タブレット端末で動画を見てもらえれば説明が不要となることから、販売員のスキルに頼ることなく提案ができるようになったという。
 そのほか、「ディー・デュエット」の会員数は3年間で約8倍となる58万人(18年3月末)になり、「コンシェルジュ」が2800人に増加した。特に、会員制度の導入によって、売上高の65%にあたる顧客情報の把握ができたほか、各種マーケティング事業に活用できるようになったという。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月2日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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