アスクル/物流革新を断行/小口配送の実証実験も

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「AVC関西」は早期立ち上げに成功

「AVC関西」は早期立ち上げに成功

 アスクルは倉庫の自動化、配送基盤の強化など物流改革を断行することでコスト削減・生産性向上を図っている。2月に稼働した同社最大の物流センターは3カ月間で既存センター以上の生産性を実現し、最新設備でさらに効率性を高める。7月12日には、小口配送モデルの実証実験を開始。受注前に商品を顧客の近隣にまとめて輸送し、配送の生産性向上を実現する。
 アスクルは独自の物流プラットフォームを確立し、物流・配送コストの低減を図っている。大阪に開設した物流センター「ASKUL Value Center(AVC)関西」は、「人が歩かない物流センター」がコンセプト。同じコンセプトでロボット技術を採用した「ASKUL LogiPARK(ALP)横浜」より高い生産性を実現している。
 「ALP横浜よりも10倍規模の設備を設置し、効率化・省人化を追求している。ロボット技術の研究も進め、ピッキングロボットの生産性は2年前から4倍に伸びている」(岩田彰一郎社長)と話す。
 「AVC関西」は6月に発生した大阪府北部地震の被害はなく、稼働を続けた。今後も火災の被害に遭った「ALP首都圏」の再稼働なども視野に入れ、物流をさらに強化する。
 新小口配送モデルの実証実験は、都内・港区にある「東京ミッドタウン」で実施する。法人向け通販サービス「アスクル」で取り扱うオリジナルコピー用紙(A4)でテストする。需要予測に基づき、必要数を事前に保管し、注文後すぐに台車で配達する。
 「オフィスビルだけでなく大規模マンションや都市部でも実用化できる。需要予測に基づき、あらかじめ商品を置いておくことで、配送スタッフが注文から15分程度で届けることができる」(同)と説明する。
 今回の配送モデルを実施する前に、経済産業省が所管するグレーゾーン解消制度を活用し、国土交通省に法令違反がないか確認している。その結果、オフィスビルなどの空きスペースを借り受け、商品を一時保管する行為は、倉庫業法上の登録を要しないことを明らかにしている。
 今後は東京以外でも実証実験を行い、幅広いエリアでサービス化を図る。
 物流や配送の機能を強化するとともに、外部企業に物流網を開放するシェアリングサービスも開始する。さまざまな取り組みで生産性を向上し、物流で通販業界をリードしたい考えだ。

新小口配送モデルのサービスイメージ

新小口配送モデルのサービスイメージ

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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