【EC事業の増収要因〈本紙調査〉】 独自商品、3割占める/顧客接点設け要望・意見を募集

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コックスは昨年4月、女性社員をモデルに起用した初のEC限定ブランド「notch.(ノッチ)」を立ち上げた

コックスは昨年4月、女性社員をモデルに起用した初のEC限定ブランド「notch.(ノッチ)」を立ち上げた

 EC事業者の約3割が、増収要因として独自の商品企画を挙げていることが分かった。本紙姉妹紙でEC事業者向けの専門紙「日本ネット経済新聞」がアンケートを実施した結果、EC事業者の48社が増収と回答し、そのうち16社が増収要因を商品企画が奏功したとしている。商品企画を要因とした事業者に追加取材を行った結果、イベントやSNSで顧客と接する機会を設け、顧客の要望や意見を商品企画や改良に生かしているケースが目立つ。ネット通販を展開する場合、価格競争を回避する狙いから、オリジナル商品開発に取り組む事業者は少なくない。追加取材した各事業者の商品開発事例を紹介する。

■座談会を開催、SNSで拡散

 NTTぷららは昨年12月、SNS「ルームクリップ」とタイアップして開発したオリジナルソファ(価格は税込7万5600円)を発売した。「ルームクリップ」はインテリア専門のSNSで、利用者がインテリアの配置写真を紹介し共有している。
 商品開発の前段としてソファに関するアンケート調査を、「ルームクリップ」の利用者に対して実施した。アンケート結果を基に作成した試作品を、同11月に開いた座談会で披露、改善点などの意見を募った。座談会には「ルームクリップ」を利用している主婦など8人を招いた。
 「座談会の体験をSNSで拡散してもらうことは、ブランディングにつながる。完成品をさらに改良するためにも、使用者の意見を収集するツールとして積極的にSNSを活用していきたい」(コンテンツ戦略本部)と狙いについて話す。
 初めて「ルームクリップ」とタイアップした企画の反響を受け、NTTぷららはすでに2回目となる「ルームクリップ」とのタイアップ企画を進めている。リクライニングソファなど3種類の商品を拡充する計画だ。発売は今年10月ごろを予定している。
 自社ECサイトで150品目以上のオリジナル商品を販売する全日空商事も、顧客ニーズをくみ取る場としてSNSの活用を意識している。「SNSでの反響やANA顧客から寄せられる、お客さま窓口への意見に気を配り、顧客満足度の高い商品開発を心掛けている」(経営企画部)と説明する。


■売上高目標の1億円を達成

 EC限定のブランドや商品も、商品の差別化要因として増収に寄与している。衣料品を実店舗とネットで販売するコックスは昨年4月、初のEC限定ブランド「notch.(ノッチ)」を立ち上げた。「ノッチ」は20代の女性から支持を集め、現在までに初年度売上高目標だった1億円を達成している。
 「ノッチ」のモデルには自社の社員を起用した。スタートトゥデイが提供しているファッションコーディネートアプリ「WEAR(ウエア)」で、約4万7000人のフォロワーを有する社員だ。企画やMD担当者を1人付けて、少数精鋭でEC限定ブランドを展開してきた。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月21日号で)

全日空商事は6月18日、オリジナルブランド「TUMI for ANA」の商品を拡充すると発表した

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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