Amazon 〈手数料値上げの施策続々〉/今後も出品者負担増の可能性

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 ECの巨人にも、送料値上げの波が襲い掛かっているようだ。アマゾンジャパンは2月20日、Amazonに出品している事業者に対して、4月23日から、物流代行サービス「フルフィルメントbyAmazon(FBA)」の値上げを行うと通知した。2月26日には一部メディアで、「アマゾンジャパンが17年11月ごろから、Amazonが直販で扱う複数の、食品メーカーや日用品メーカーに対して、販売した金額の1〜5%の協力金を支払うように要請し始めた」という報道もあった。本紙の取材に対して一部のメーカーは、「協力金の要請を受けている」ことを認めている。Amazonへの出品支援を行う複数のコンサルタントは、今後もメーカーや出品者の負担が増える可能性があると指摘している。

■一部のトップメーカーに要請か

 協力金について、Amazonが直販で商品を販売している複数のメーカーに問い合わせたところ、「当社も協力金を要請された」(中堅家庭用品メーカー)という声が確認された。17年11月ごろに、Amazonの売れ筋商品のメーカー数社の担当者を集めた説明会が開催され、その場で協力金を求められたのだという。アマゾンジャパンでは、物流コストの上昇などを理由に挙げていたとしている。
 「当社はもともと薄利でAmazonに商品を供給しているため、協力金を支払うようになれば、利益はさらにひっ迫する」(同)と話す。ただ、「Amazonのバイヤーからは、『無視してもいいです』と言われた」(同)とも話しており、Amazon内部でもメーカーに対する協力金の要請について、疑問を持つ人もいるようだ。
 Amazonの食品分野のランキング常連のある飲料メーカーからは、「協力金という名前ではないが、昨年12月ごろに販売手数料の値上げを求められた」といった声も聞かれた。ただ、「Amazon以外の小売店でも、手数料の変更などはよくあり、珍しいことではない」とも話していた。
 Amazonが直販で商品を扱っている、大手菓子メーカー3社に聞いたところ、3社とも、協力金の要請や、手数料の値上げの要請はなかったとしている。「運賃コストが大きい商品を扱う飲料メーカーなどが要請を受けているのではないか」(菓子メーカーA社事業開発部)や「問屋を介さずに直でAmazonに商品を卸しているメーカーが(協力金を)要請されていると聞いている」(菓子メーカーB社)といった声も聞かれた。Amazonの売れ筋を扱うメーカーが協力金や、手数料の値上げを軒並み要請されているわけではないようだ。
 アマゾンジャパンでは今回の報道について「コメントを差し控える」(広報)と話している。


■Amazonもコスト増に苦悩

 Amazonが、FBAの手数料を値上げしたり、一部企業に協力金を要請したりする背景には、17年から社会問題化した、配送会社による運賃の値上げの問題があるようだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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