消費者庁/「遺伝子組換えでない」基準厳格化へ/食品業界団体は難色示す

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 食品に「遺伝子組み換えでない」と表示できるための基準が変わりそうだ。
 消費者庁は昨年4月から、遺伝子組み換え表示の在り方を巡り、業界団体、消費者団体、有識者らと検討会を重ねてきた。1月31日に行われた直近の検討会で提出された報告書案には、「遺伝子組み換えでない」と表示できる基準を変更する方針が明記された。
 現行の表示制度では非遺伝子組み換え農産物(8品目)や、これら農産物を原材料とする加工食品(33品目)に、「遺伝子組み換えでないものを分別」「遺伝子組み換えでない」などを任意で表示することができる(事業者が分別生産流通管理を行っていることが前提)。その際の基準は、遺伝子組み換え農産物の意図せぬ混入率が「5%以下」であることだ。
 ただ、消費者側の委員からは、意図せぬ混入の許容率を引き下げてほしいなどの要望があり、基準を厳格化する方針を固めた。
 報告書案で示された新たな表示制度は、遺伝子組み換え農産物が検出されない場合(実施0%)に限り「遺伝子組み換えでない」と任意で表示できるというもの。混入率が5%以下であれば、分別生産流通管理が適切に行われているなど事実に即した表示が任意で行える。
 検討会で委員を務める、一般財団法人食品産業センターの武石徹企画調査部部長は、新制度の設計に難色を示す。「現行の遺伝子組み換え表示制度で最も多く使われているのが『遺伝子組み換えでない』であり、実際に表示を行っている中小零細を含めた事業者への影響について十分に検討するべき」と見解を述べた。
 食品表示法に基づく食品表示基準が改正された場合、食品関連事業者にはラベルの切り替えや仕入れ原料の見直しといった混乱が生じることになる。武石委員は、「表示基準の厳格化によるコスト増で、事業者はそれら原料の調達が難しくなる」と見ている。
 消費者庁は、3月末までに取りまとめを行う方針。食品表示基準改正に向けた今後のスケジュールについては未定としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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