訪販・宅配各社/高齢者見守りで経営強化へ/企業認知を高め、顧客接点拡大に寄与

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ダスキンでは各都道府県の警察本部と連携し、金融機関など事業所向けの玄関マットのレンタル展開をしている

ダスキンでは各都道府県の警察本部と連携し、金融機関など事業所向けの玄関マットのレンタル展開をしている

 ダスキンやヤクルト本社、ワタミといった訪販・食品宅配の大手が、「見守り活動」など高齢者向けの社会貢献活動(CSR)を通じ、企業の認知を高めることで、本業の強化に生かしている。訪販業界以外でも、防犯設備や鉄道、コンビニエンスストアといった企業が「見守り活動」への参加を相次いで実施。高齢者人口がいっそう増えていく中で、商品やサービスを提供するだけではなく、社会貢献にも取り組むことで、消費者からの信頼性を得ようとしている。訪販は従来から消費者宅を戸別訪問しており、親和性は高く、販売員のモチベーションアップにもつなげている。

 高齢者の人口が増加しているのに伴い、振り込め詐欺などの特殊詐欺が増加。警察庁によると16年度の特殊詐欺の認知件数は前期比2.4%増の1万4000件を超え、依然として高水準で推移している。
 東京都では、15年度から、高齢者の見守り活動の一環として、特殊詐欺防止を明記したリーフレットの配布を開始。ヤマト運輸や生協、食品宅配などといった配送サービスを主体とする企業に配布を委託する「悪質商法注意喚起プロジェクト」を始めた。また、18年度に施行される「5カ年の消費生活基本計画」の中でも、地域の福祉部門と連携して消費者被害を防止していく内容を盛り込んでいる。
 こうした行政の取り組みに先行して、CSR活動を実施するのがヤクルト本社だ。1972年から自治体の要請を受けてヤクルトレディ(YL)が一人暮らしの高齢者宅を訪問して安否確認をしたり、話し相手になる「愛の訪問活動」を開始。138の自治体と提携し、約4万4000人の高齢者宅を定期的に訪問して、安否確認の情報を自治体に報告している。届ける商品の費用は自治体が負担している。
 07年ごろからは、「地域の見守り・防犯協力活動」を本格的に開始している。通常のYLによる訪問活動の延長として、地域の防犯や見守りを行う。ヤクルト本社では、各販売会社が受け持つ地域をYLに割り振り、営業社員による訪問も実施している。定期的な地域密着の営業活動で得た情報やノウハウを生かし、自治体や警察などと連携して、地域の防犯や高齢者の見守り活動を行っている。警察の振り込め詐欺防止のチラシを配布したり、腕章をつけたり、バイクにステッカーを貼付して、自治体の防犯情報誌を配布している。16年3月末現在で、販売会社101社が実施し、2万4470人のYLが参加している。

■ダスキンでは警察本部と連携

 ダスキンでは16年7月から、各都道府県の警察本部と連携を開始した。飲食店や金融機関といった事業所向けに玄関マットのレンタルを手掛けており、ここ数年は、マットのデザインができるオーダーメードマットのニーズが高い傾向にあるという。
 マットを通じてメッセージを発信したり、注意喚起を促すことができる利点を生かしている。以前から加盟店や地域本部では個別に実施しているケースもあったが、警察本部との連携で、本格展開に踏み切った。警察に対する手続きなどは本社ではなく、全国9つの地域本部が担う。特殊詐欺の被害状況や各警察本部の意向に対応できるよう、地域ごとに実施することにした。
 マットには各県警のマスコットキャラクターや警察本部の名称も記載。振り込め詐欺防止につなげている。
 マットのほか、加盟店の販売員は、社名や氏名などを記載しネックストラップに、「特殊詐欺防止!」などといった内容のホルダーを身に付けている=写真。警視庁からは、「特殊詐欺・振り込め詐欺防止アドバイザー」という役割を委嘱されているという。警視庁管内では、販売員が訪問時に「こんな詐欺に気を付けてください」といった声掛けも提携内容に含まれ、警視庁の広報誌の配布も行っている。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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