ポーラが1月1日に発売したシワを改善する薬用化粧品「リンクルショット メディカルセラム」の販売が好調だ。ポーラ史上最大の広告費を投入し、あらゆる世代に向けて商品の認知を促している。17年12月末までに同商品だけで、100億円の売り上げを目指すという。これに対して、ポーラ以外の訪販化粧品各社も独自の商品戦略でシェア拡大を図る構えだ。愛用者拡大に向けてロングセラー化粧品をリニューアルする企業や、新規顧客定着のために商品開発を行う企業もある。
「リンクルショット メディカルセラム」は、日本で唯一「シワを改善する」と広告でうたうことができる医薬部外品の化粧品だ。シワの原因となる酵素の働きを阻害するニールワンという成分を配合しており、厚生労働省から16年7月8日に、医薬部外品の認可を受けた。
新規の効能で、新規の成分について受けた医薬部外品の認可という意味では画期的。認可の背景には「訪販やサロン販売などでの『対面の販売スタイル』が評価された」(同社宣伝部)こともあったとしている。
同商品には、シワの改善だけでなく、予防する効果も見込める。そのため、同社の中心顧客である40代女性だけでなく、20代を中心とした若い女性や、男性などにも売り込んでいく考えだ。横手喜一社長は「これまで接点がなかった消費者にポーラを知ってもらう戦略的商品」として位置付けている。
同商品には、ポーラ史上最大の広告費を投入する。16年12月1日には全国の新聞20紙に広告を掲載。年末年始にはテレビCM、街頭ポスター、映画館の予告でも、「唯一のしわを改善する化粧品」であることをアピール、同商品のオレンジ色のイメージを訴求した。
全国の百貨店では品切れが相次いだ。普段は予約なしの飛び込みの顧客がほとんどないという「ポーラ ザ ビューティー」のサロンにも、1月初旬には多くの新規顧客が訪れたという。
他の化粧品訪販各社も手をこまねいてみているわけではない。
ノエビアは、16年8月5日に発売した「ノエビア 505 薬用エンリッチローション」の拡販を図っていく。「薬用エンリッチローション」は、累計700万本以上を販売している同社の主力シリーズ「ノエビア 505」の新商品だ。
同社の顧客ではエイジングケアを気にする顧客が多いという。もともとエイジングケアを目的とした同シリーズだが、保湿成分を、既存の「薬用ミルクローション」の2倍に増やし、乾燥による肌の老化を改善したい顧客に向けて商品開発を行ったという。
ターゲットは40~50代。ただ、同社の顧客の中には20代後半でもエイジングケアを求める顧客が多いことを考慮し、幅広い世代に使えるよう新商品を開発したという。
1本(150ミリリットル入り)が税別1万3000円という高価格帯商品だが、同シリーズの愛用者に浸透してきており、「販売個数は開示できないが、売り上げは堅調」(広報)としている。
同社は通信販売も積極的に行っているが、同商品についてはほとんどを、同社の販売代理店が開設している本社公認サロンの「ノエビアビューティースタジオ」で販売しているという。
シーボンは、ロングセラー商品となっている化粧品「モイスチャークリーム」をバージョンアップ。医薬部外品「モイスチャークリームS」として1月1日に、基礎化粧品「フェイシャリスト」シリーズから発売した。高い保湿力を持つ成分「リピジュア」を新たにプラスし、徹底保湿を目的に開発したという。
(続きは、「日本流通産業新聞」2月2日号で)
訪販化粧品業界/各社のスキンケア商品戦略/ポーラはシワ改善化粧品を大展開
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