KDDIがディー・エヌ・エー(DeNA)グループの運営する二つのECモールを買収し、通販市場に本格参入する。KDDIは買収後にプロモーションを強化し、ECモールを活性化する計画とみられる。ソフトバンクは15年10月、自社の携帯電話ユーザーが傘下のECモール「ヤフーショッピング」を利用しやすい仕組みに整備した。エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)もテレビ通販のオークローンマーケティングやファッションECのマガシークを買収している。携帯キャリアにとって本業の通信事業による成長性が鈍化する中、モバイルインターネットの覇権争いにおいて、通販事業の重要度が高まっているようだ。
■モール運営一本化
KDDIは近年、プリペイドカード「au WALLET(エーユー・ウォレット)」や、ショッピングサービス「au WALLET Market(マーケット)」を中心とした決済・物販事業を展開するなど、通信以外の生活関連サービスを強化していた。
ECモールにおいてもDeNA傘下のモバオクに出資し、「auショッピング」の運営に参加していた。DeNAは自社で「DeNAショッピング」を、子会社のモバオクで「auショッピング」をそれぞれ運営していた。
DeNAは「これまで『auショッピングモール』の運営を通してKDDIと密に連携してきた。日頃から両社でECモール事業のさらなる成長について協議する中で、事業運営主体を一本化することが有効だと判断した」(経営企画本部広報部)と話す。
ECモールの運営一本化の議論の中で、決済・物販事業の強化を図っているKDDIが事業を引き受ける方向に話が進んだようだ。
■買収後、EC活性化
DeNAショッピングの「ベストショップ大賞2015」でカテゴリー賞を受賞した激安良品家具の仙田大輔社長は、「『DeNAショッピング』の担当者から説明を受けている。KDDIがECモール運営に大きな予算を組んでいると聞いた。大手ECモールのようにテレビCMなど積極的なプロモーションを仕掛けてほしい」と期待している。
KDDIは買収後にプロモーションを強化し、ECモール事業の活性化を図るようだ。「今後詳細を検討していく。現時点では買収後の具体的な取り組みについては答えられない」(KDDI・広報)と説明する。
(続きは、「日本流通産業新聞」10月20日号で)
携帯キャリアの通販戦略/KDDIがEC本格参入/モバイルネットの覇権争い激化
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