訪問販売や食品宅配企業では、長く経営課題となっている人手不足に加え、訪問先の対面率の低下や物価高も新規顧客獲得の伸び悩みに追い打ちをかけている。酷暑に伴う営業活動量の減少も逆風となる中、各社は人手不足解消に向けた取り組みを強めている。26年3月期にヤクルトレディ(YL)数が初めて3万人を割り込んだヤクルト本社では、宅配サービスの利便性を高める顧客向けの「ヤクルトアプリ」の導入により、減少した販売数の補完と利用継続(LTV)に成果を表している。食品宅配のSL Creations(エスエル・クリエーションズ、本社東京都)は、企業向けの常備型社食サービスにより、販売員の収入アップと新規採用者への訴求力につなげている。事業の屋台骨である販売員の確保と、仕事への魅力を高めるための試行錯誤が続いている。
■【ヤクルト本社】YL減もアプリで補完
ヤクルト本社の26年3月末におけるYL数は25年9月末から約半年で719人減の2万9934人と初めて3万人を割り込んだ。売上実績の高い「Sタイプ」は前期比2.6%減、「Aタイプ」は同0.9%減だった。YLの減少は全体売上に響き、販売本数は同5ポイント減、顧客単価は同1~2ポイント減とそれぞれマイナスだった。
ここ数年、YLの負担軽減や業務効率化に取り組んでいるものの、YLの収入が3年連続で減少傾向にあった。最低賃金の上昇や物価高に加えて、近年の酷暑などを理由に離職が下げ止まっていない。採用活動を強めても、離職数が採用数を上回っているとしている。
離職したYLの代わりに担当する「代配」の営業により1人当たりの販売本数は増加傾向にあったものの、「代配」だけでは優良顧客(ロイヤルユーザー)へのフォローはできても、月1回宅配のライトユーザーまで十分には対応が行き届かないこともあった。
新規顧客獲得に手が回らない状況も続く。
販売数がこれまでよりも鈍化していた宅配専用商品の「ヤクルト1000類」からの切り替えを狙って、前年は甘さを抑えた「ヤクルト1000糖質オフ」を市場投入して切り替えを提案したものの、新規顧客の獲得には今のところ目立った効果を上げていない。
新規顧客獲得や既存顧客のLTV向上など多くを担うYLの業務負担軽減を目的に、ヤクルト本社は、キャッシュレス決済や配達日管理などが便利に行える「ヤクルトアプリ」の機能を充実化した。アプリは現在、宅配顧客の約5%にあたる約4万人に提供。この利用者を中心にLTVを高めるために店頭や自動販売機などでヤクルト製品を購入してもポイントが付与される仕組みを取り入れる考えだ。
ヤクルトアプリの現状について、三谷亮太宅配営業部長は「アプリを利用する人とそうでない人の6カ月間継続率は7ポイントの差があるほか、顧客単価の上昇についても優位性が出てきている」と手応えを示す。
(続きは、「日本流通産業新聞」 7月30日号で)
【訪販・食品宅配大手】 <販売員減の解消へ施策続く> デジタル化、収入アップに成果/販売員の確保に試行錯誤(2026年7月30日号)
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