【交通・旅行系企業のEC活用最前線】リアルの強みをオンラインへ/HISは物販で顧客接点強化/航空大手は強み生かしEC流通拡大(2026年4月23日号)

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EC事業推進部 マーケティングチーム リーダー 末廣真一氏(写真左)と同チーム マネージャー 苗代亮佑氏

EC事業推進部 マーケティングチーム リーダー 末廣真一氏(写真左)と同チーム マネージャー 苗代亮佑氏

 交通系や旅行系企業が、事業拡大の次の手としてオンライン施策を活発化している。オフラインのサービスで培った強固な顧客基盤や独自の経営資源を生かし、戦略的に顧客接点の拡大を図っている。航空大手はマイルや客室乗務員(CA)といった強みを生かし、物販ECの刷新、ECモールの強化に取り組んでいる。旅行代理店大手のエイチ・アイ・エスは物販EC企業を買収し、新たな顧客接点の拡大を図る。東海旅客鉄道(JR東海)はクラウドファンディング(CF)を有効活用し、鉄道ファンとの関係強化に注力している。旅行や移動など人が動くときには、気持ちも動く。その好機を生かし、ECを活用した事業拡大に取り組む各社の最新動向に迫る。

■削減コストを顧客に還元

 JALは国内線の全路線における機内販売を、専用ECサイト「おうちで機内販売」に1本化した。同社が運営するECプラットフォーム「JAL Mall」の中に位置付けている。機内Wi―Fiから、IDとパスワードを発行し、機内販売を利用できる。搭乗中もしくは搭乗後3日間は買い物ができる限定感も提供している。購入した商品は、全国どこでも送料無料で配送するという。
 新しい仕組みにより、離陸前に商品を機内に運んだり、客室乗務員が機内で会計したりする労力を削減できる。さらに、搭載重量が減ることで機体の消費燃料を抑え、コストや環境負荷の軽減にもつながる。削減したコストの一部を送料負担に充てることで、送料無料を実現しているという。
 同サービスは「JALマイレージバンク(JMB)会員」以外でも利用できるが、会員であれば購入の際にマイルがたまるため、ログインしてから利用する流れとなる。
 「『おうちで機内販売』の導入により、会員の購買傾向をより精緻に分析することが可能となり、顧客に最適な商品・サービスの提供へとつなげることができる」(ライフ・コマース事業部機内販売グループ 主任 大脇拓己)と語る。


■定期販促でリピーターに

 全日本空輸(ANA)グループのANA X(本社東京都、神田真也代表)が運営するECプラットフォーム「ANA Mall」の26年3月期における流通額は、前期比60%増となった。27年3月期は、同20~30%増を目指すという。
 毎月、月初に実施する「マイルアップキャンペーン」や、月末の「マイル還元キャンペーン」、さらに毎月29日の「ANAグループ横断の取り組みである「ANAにキュンの日」といった定期的な販促施策が、顧客の定着に貢献している。
 今期は新規獲得からリピーターへの育成に注力する新たな成長フェーズへの移行期と位置付け、あえて緩やかな成長曲線を見込む。


■CAの力でCVR2倍

(続きは、「日本流通産業新聞」 4月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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