太陽光発電や蓄電池など省エネ商材による再生可能エネルギー市場で販売戦略に変化が表れている。特に、省エネ商材を訪販で展開する事業者では、ダイレクトセールス(DS)の生産性低下や人手不足、離職率などの対策から、個人から法人向け事業にシフトする企業が目立つ。相次ぐ住設訪販の行政処分が個人宅営業の門をさらに狭め、DS以外の手法を取り入れた運営に切り替える企業も増えている。ただ、成長が見込まれる再エネ市場に対する期待は大きく、個人と法人の両立が市場の活性化と経営の健全化につながる可能性が高い。
■確率と効率の時代に
住設訪販の営業手法は近年、確率と効率を重視した形にシフトしている。ドアツードアやテレアポなどDSメインから、催事やアライアンス(BtoBtoC)、ショールーム展開、既存顧客への営業など生産性の高い手法を取り入れた例が増えている。
DSはアポイントの取得が年々難しくなり、100件あたってアポがゼロ件ということも少なくないという。こうした「数撃ちゃ当たれ」的な営業ではなく、少ない工程でアポが取得できる確率の高い手法の導入が進む。
DS事業を取り入れて株式上場しているサニックスホールディングスの子会社サニックス(本社福岡県)、グリムスの子会社グリムスソーラー(本社東京都)はいずれも、新規営業を行いつつ、営業マンの負担軽減と効率性を重視したアライアンスや催事販売に取り組み、成果を上げている。
確率と効率を重視する展開は、外部環境の変化もある。
慢性的な人手不足で営業マンが確保できず、折からの販売商材のコスト高騰もあって、販管費や資材費が経営を圧迫している。電力、ガス、リフォーム、異業種から省エネ事業への新規参入も相次ぎ、取り巻く環境は激しさが増す。
価格競争も進む。営業マンなど従業員を多く抱える大手・中堅の企業は安易な安売りができず、新たな提案が必須となる。
一方、従業員数が少ない小規模事業者は、これに比べて販管費率は低い分、コスト競争力に転換しやすいため、相見積もりで勝ちやすい状況となっている。しかし、販売商材を含む資材の仕入れ値は各社で差がないため、利益率の低下を招きやすく、会社の経営が徐々に苦しくなる見通しに変わりはないようだ。
営業マンを新たに獲得できても、すぐに成果が出るわけではない。近年は新卒採用が当たり前となる中、新卒メンバーは一定期間の教育時間とOJTなどが必要になる。実際に現場に足を運ぶものの、成果が出ないと退職してしまったり、営業成績のばらつきが心理的負担になったりして、営業マンが多いから良いというわけでもなさそうだ。
営業時の人員配置は現在、複数人による行動が基本だ。コミュニケーションを兼ねた訪問営業で商談、契約に至るまでの工数と時間が従来よりも長い。契約までの時間が長くなるほど費用対効果が低下しているとの声も聞かれる。
こうした経営環境の中、現在、効率よく売り上げを上げていく手法として増えているのがアライアンスだ。
多くの顧客を抱えているインフラ会社や工務店、ビルダーなどと手を組んで、各社が持つ顧客に対して、アライアンス先が営業に出向く形だ。すでに取引実績があるため、営業もスムーズにいく場合が多いという。
また、会社経営の生産性や収益性を考慮し、アライアンスを一つの事業として組み込み、新規営業とアライアンスを分けて対応する企業もある。
新日本エネックス(本社福岡県)では、新規営業、既存営業、アライアンスなどに部門を分けた体制を敷く。各部門で収支バランスを意識しながら、会社全体の成長を目指す。
リベラルソリューション(本社東京都)も現在、アライアンスの営業にかじを切って対応しているようだ。
■リベラルは大口案件獲得進む
株式上場しているサニックスホールディングスやグリムスは法人向け事業に力を入れる。
直近の決算では、サニックスホールディングスの25年4―9月期(中間期)売上高は前年同期比1.1%増の215億200万円。このうちエネルギー領域の売上高は同1.8%増の35億9000万円、資源循環領域は同3.4%増の99億7500万円だった。訪販を含む住環境領域は同1.5%減の77億4200万円とマイナスだった。
(続きは、「日本流通産業新聞 1月29日号で)
【再エネ市場の販売戦略】訪販は法人事業にシフト進む/個人向けとの両立で市場の活性化も(2026年1月29日号)
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