【訪販大手/食品宅配】現場のDX・省人化が加速/持続可能なビジネスモデル構築へ(2025年8月28日号)

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「ヤクルトアプリ」

「ヤクルトアプリ」

 訪問販売や食品宅配の販売員、配送員を抱える企業では、人材不足が長く経営課題になっている。業務は、配送と営業を兼ねた社員(販売員)もしくはスタッフが担うのが一般的だ。在宅率の低下に伴い、対面で受け取るよりも玄関先に専用ボックスに商品を入れる「置き配」も増えて、対面を強みにした営業提案は以前に比べて難しくなった。業務負担の軽減と人材の安定的な確保を目的に、こうした課題を解決するため、配送と営業業務を分業化する動きも出てきている。ヤクルト本社は今年3月から宅配顧客向けに「ヤクルトアプリ」を開始。スマホ決済機能も搭載し、ヤクルトレディ(YL)の生産性向上と業務負担軽減を狙う。生活協同組合(生協)も、従来型のドアツードアからイベントやウェブなどを活用した集客を強化。職員の負担軽減と分業化で人材確保に努めようとしている。

■【訪販大手】ヤクルト、YL業務のDX加速

 ヤクルト本社は26年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画において、「+DIGITAL(プラスデジタル)」を掲げ、YLによる宅配事業のDXを進めている。
 ヤクルトレディ(YL)の主な仕事は、一般的な業務モデルで8時30分に出社し9時に朝礼、車両への商品の積み込みや保冷材を準備したのちに配達業務を行う。午後1時30分ごろにかけて1日30~35軒ほど商品を届ける。配送終了後に専用端末を見ながら翌日分の在庫を仕入れたり、パッキング業務などを配送センターで行ったりするという。
 新規顧客開拓については、配送業務中に1~2件ほど個別訪問で声がけし、2人1組のペアで営業活動する販売会社もある。
 配送センターにはYLの業務負担を軽減する目的で、商品ケースにある商品を専用端末で読み取れる画像認証システム「ヤクルトスキャン」を導入。どの商品が何本あるのかを自動で把握できるようにした。2年前から導入を進め、全国で50台を導入した。「ヤクルトスキャン」の導入によって業務の10~15分は短縮したほか、YLが在庫を仕入れる際に配送センター内の冷蔵施設に入る負担も軽減できるようになったという。
 「ヤクルトスキャン」は日々進化しており、最近では商品を縦に積んでも検知できるようになった。今後は、認証システムと在庫を管理する端末とを連携し、最終的にはスマホで管理できるようにすることで、利便性を高めていく考えだ。


■「ヤクルトアプリ」を本格稼働

 25年3月からは宅配顧客向けに「ヤクルトアプリ」=写真=を導入した。すでに数社の販売会社で導入が進んでいる。

(続きは、「日本流通産業新聞 8月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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