今年の中国EC大型商戦「618(ロクイチハチ)」は前年に比べて盛況だった。日本ブランドの売れ行きも良かったようだ。同セールに参加した中国主要ECプラットフォームの累計GMV(流通総額)は、前期比15.2%増の8556億元(1元=20.3円、約1兆7132億円)だったと、ビッグデータ分析サービスを展開する星図数据(Syntun、シントゥン、本社中国)が発表した。財布のひもが固くなっていた中国消費者の「節約疲れ」が現れたのか、マーケットのトレンドが変化しつつあるようだ。成長を遂げた日本ブランドも多くみられた。中高価格帯品がマーケットの成長をけん引するようになっており、日本ブランドにとって追い風になるとの見方もある。
6月18日を中心に展開される「618」は、中国最大のEC商戦「W11(ダブルイレブン)」に次ぐ大型イベントだ。中国ECプラットフォームがこぞって参戦する。
中国ECの大型商戦の実施期間は年々、早期化・長期化が進んでいる。今年の「618」は、5月13日から各中国ECプラットフォームで、約40日間にわたって開催された。
■各社好調ジンド/ンは購入者2倍に
各社の発表を見ると、盛況だったようだ。
「618」セールの発起人でもある中国大手EC企業ジンドンでは、購入者数が前年比で2倍以上に増加したという。
「天猫(Tモール)」「タオバオ」などを展開するアリババグループは、「618」が好調に推移したことを明らかにした。今回は453ブランドのGMVが1億人民元(約20億円)を超えたという。過去最高の参加者数を記録。購入者数は前年比で2桁成長を遂げたという。
市場全体では、家電などの消費財への、中国政府の補助金政策が、今回「618」の拡大を後押しした。
海外(中国以外の)消費者も取り込み、越境EC販売も強化したという。
各プラットフォームは詳細なGMVを公表しなかったが、星図数据の推計によると、「ジンドン」「天猫」「タオバオ」「ピンドゥオドゥオ」「ドウイン」などの主要プラットフォームの累計GMVは前期比15.2%増と、大きく成長を遂げた。
■中高価格帯製品が/マーケットをけん引
中国EC市場に詳しい、Nint(ニント、本社東京都)のNint上海・経営戦略担当を務める堀井良威氏は、「今回の商戦で成長した企業と、そうでない企業とを分けたのは、中国の消費トレンドの変化だと考えられる」と分析する。
(続きは、「日本流通産業新聞 7月3日号で)
【中国EC大型商戦「618」回復か】15.2%増で1兆7000億円規模に/日本ブランドの売れ行きも好調(2025年7月3日号)
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