【訪販大手】デジタルと対面の融合を強化/DX、顧客関係推進を中計で発表(2025年6月12日号)

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「ヤクルト1000糖質オフ」

「ヤクルト1000糖質オフ」

 ヤクルト本社やダスキンは、業務のDXを推進してデジタルと対面販売を融合していくとする中期経営計画を相次いで発表した。ヤクルトは宅配事業をけん引してきた宅配専用商品「ヤクルト1000類」の販売が鈍化。今年3月から「宅配顧客向けアプリ」のサービスを導入した。アプリを使って販売員「ヤクルトレディ(YL)」の業務をデジタル化し、ユーザーとの直接的なやり取りを作って継続利用につなげる。ダスキンは、リアルとデジタルの両輪で顧客との関係性を強めて次の成長を目指している。

■<25年3月期業績> ヤクルト本社/「ヤクルト1000類」は計画未達

 「ヤクルト1000シリーズに対する世間のプレゼンスの低下は否めない」
 三谷亮太宅配営業部長はこう話す。
 25年3月期における宅配専用商品「ヤクルト1000類」の1日当たりの販売本数は前期比9.6%減の196万本。ここ数年、ヤクルト本社の宅配事業をけん引してきたヒット商品の成長が鈍化しているのは、睡眠の質向上を訴求する競合製品が影響している。
 離脱したユーザーからは味が「甘すぎる」という声が上がる。これに対応する形で、今年1月に全国展開したのが「ヤクルト1000糖質オフ」だ。ネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」で販売を始めたものの、スタート段階で生産ラインが十分に整わず、本数限定での販売となった。
 22年の大ヒットでは在庫不足で希望通り顧客に届けられなかった苦い経験がある。既存客へ優先したいという思いから、オリジナルの「ヤクルト1000」からの切り替えが中心になった。「糖質オフ」で新規客を増やしたのではなく、既存客の切り替えが多かったため、「1000類」の全体の顧客数は微増にとどまった。
 「ヤクルト1000」の購入を止めてしまった理由について、顧客の3割が味に不満だったとした。このため、まずは「糖質オフ」に切り替えてもらいつつ、新規客を上乗せするという方針だったが計画通りにはいかなかった。
 「糖質オフ」を全国展開して初の業績開示となった25年1―3月期(純第4四半期)で、「ヤクルト1000類」の売り上げ本数は前年同期を下回った。減収した理由について、顧客単価が7ポイント低下した点を挙げた。現在、新たに申し込んだ場合に初回の週を無料にしており、新規客が増えるほど全体の単価が低下する形となった。

(続きは、「日本流通産業新聞 6月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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