東京都/行政指導件数が2年連続100件超え/立ち入り調査は32件

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 東京都は、15年度(15年4月―16年3月)の特定商取引法や都消費生活条例に基づく行政指導の件数が101件、立入調査が32件だったと発表した。都が5月26日に開催した「第1回東京都消費生活対策審議会第1回総会」で明らかにした。行政指導件数は過去最高だった104件だった14年度に引き続き100件を超えた。15年7月には、立ち入り調査の権限を強化した改正都条例が施行。17年12月までに施行が予定されている改正特商法の「業務禁止命令」などを積極的に行使することで、悪質事業者への取り締まりを強化する方針だ。


■指導、立入件数が高水準
 都が特商法や都条例に基づき15年度に実施した行政処分の件数は、前年より3件多い14件。いわゆる「劇場型勧誘」やSNSで知り合いになって高額な商品やサービスを契約させる手口が増加傾向にある。処分を受けた事業者が新たな法人を作って不適正な取引行為を繰り返すケースも目立つという。
 都民からインターネットで悪質な取引行為の情報を募る掲示板「悪質事業者通報サイト」の受理件数は前年比55件減少して287件。首都圏の5都県合同での行政指導件数は16件だった。また合同による行政処分は2件だった。
 16年度は、特別機動調査班を6班体制にすることで的確な執行強化を継続。首都圏の自治体で構成する「5都県悪質事業者対策会議」による広域的な連携を強化したり、警視庁や消費者庁、特定適格消費者団体と連携しながら、被害者救済にも取り組む方針だ。
 また、事業者向けのコンプライアンス意識を高めることを目的にした「コンプライアンス講習会」を3回実施した。「応募者数が増加傾向にあり全体的に事業者のコンプライアンス意識高まっている」(東京都)とその成果を強調する。一方で、業界や企業の規模で意識に差が生じていることを指摘。16年度も引き続き講習会を開催することを明らかにした。
 さらに、業界団体に加盟する訪問販売事業者の実態調査や都民の意識調査も計画。結果をもとに、事業者のあり方について検討し講習会などに役立てる。業界団体と連携し、取り組みが遅れている事業者向けのコンプライアンス意識向上を図る。


■相談体制を11グループに専門化
 都消費生活総合センターが担う相談業務も充実させる。高度化する相談への対応としてこれまで10あった専門分野グループを改編し「法制度・区市町村支援担当グループ」を新設して全11グループとする。そのほか、土曜日や区市町村と連携した特別相談を増やす。
 6年連続で3万件の相談が寄せられる60歳以上の高齢者対策としては、16年3月30日に都内で活動する16の事業者および団体とともに「都と事業者との連携による高齢者等を支える地域づくり協定」を締結。24年度までに全市区町村で高齢者の消費者被害防止のための見守りネットワークの構築を目指す。


■不当表示改善指導は減少
 都では、景品表示法に基づく不当表示に関する監視活動を継続して実施していく。年間2万4000件のインターネット上の広告を監視し、15年度は398件の改善指導を実施した。過去3年間は減少傾向にあるが、石岡由江取引指導課長は「単純にここ数年の改善指導の効果が出てきているとは言えない」と慎重な見方を示した。
 16年度は新たに重点テーマを設定し、職権探知のほか、ネット広告監視と消費生活調査員から寄せられる情報を併せた形で調査を継続。年間2万4000件を目標に調査・指導につなげる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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