羽毛産地偽装問題/通販・訪販への影響目立たず/問題の長期化で商戦に悪影響も

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【団体・行政の対応は】
 日本羽毛製品協同組合(日羽協=事務局東京都、柳場弘会長)は14年5月と15年1月の2回に渡り、「多くの中国産の羽毛がフランスやハンガリー、ポーランドなど欧州産と記載され流通している疑惑がある」旨を、加盟社に内部通達した。この内部通達が外部に漏れ、一連の報道につながった。
 羽毛布団の製造には、羽毛の仕入れ、洗浄、加工という三つの大きな過程があるが、いずれかの段階で原産地が偽装された可能性がある。
 日羽協によると国内の洗浄業者は9社しかなく、欧州の羽毛生産者から直接仕入れて国内で洗浄する羽毛は流通する寝具の約2割しかない。欧州で洗浄した後輸入されるケースも若干はあるが、残りの多くの欧州産の羽毛は中国や台湾で洗浄してから、日本に輸入されているという。
 そうした羽毛は通関統計においては「中国からの輸入」と区分される。「欧州産羽毛を使用した寝具」の流通量と、通関統計で「欧州産」と区分されている数字を比較すると食い違いが発生するため、問題が複雑化していると日羽協は説明している。所管の公官庁もこの状況を理解しているという。
 これまで日羽協は原産国表示をする場合は各過程の原産国証明を整備させていた。日羽協ではこのシステムの改善を検討している。米国や欧州で一般化している、羽毛の生産から寝具の購入までの全流通経路をデータ化する「トレーサビリティ」システムを導入し、誰でも履歴を確認できるようにする計画だ。
 消費者庁の坂東久美子長官は5月11日の会見で「必要な情報を収集していくとともに、景表法に反する疑いがあれば、適切に対策していく」と述べている。

(続きは「日本流通産業新聞」5月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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