消費者委員会/トクホ制度見直しで建議書/健増法規制強化など22項目を要望

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 消費者委員会は4月12日、特定保健用食品(トクホ)制度の見直しや、健康食品の表示の取り締まり強化を求めた建議書を消費者庁に提出した。河野太郎消費者担当大臣に対応を要請する。
 建議書「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」には、合計22項目の対応策が盛り込まれた。
 早急な対応を求める事項は13項目。トクホの表示・広告については、国の審査で認められた以上の効果を類推させる表示・広告を一切禁止することを求めた。現在は、景品表示法と健康増進法によって、著しく誇大な広告に限り禁止とされている。トクホの表示・広告の制限については、具体例を用いてQ&Aやガイドラインの明確化を進め、事業者の理解を推進するようにも求めた。
 また、健康増進法における誇大表示の範囲の明確化も挙げた。「著しく事実に相違する表示」「著しく人を誤認させるような表示」の具体的例示を充実させ、広く公開することを求めた。
 トクホの制度・運用の見直しでは、「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」にUMIN(ユーミン)臨床試験登録システム(臨床研究計画の概要を研究開始前に第三者機関に登録し、インターネットで公開するシステム)への実施計画書の登録が必要であることを明記するように求めた。現在、消費者庁ではトクホ審査に際して、UMIN登録の有無を確認していない。
 また、前述の指導要領を改定し、「健康増進・食生活の改善」を、トクホとして許可される基本的条件とするべき旨も盛り込んだ。
 販売中のトクホについては、製品情報を公開することを義務化することを求めた。義務化にあたっては、企業の混乱を避けるため、掲載すべき情報の形式や基準を国が明確化する。
 早急な検討を求める事項としては9項目が挙げられた。トクホの制度・運用の見直しとして、作用メカニズムなどがあいまいな条件付きトクホが今後も必要かどうかを検討するように求めた。現在、今年2月に条件付きトクホとして1件が許可されている。
 健康食品の表示・広告の適正化に向けた取り組みの強化として、景品表示法の「不実証広告規制」を健康増進法にも導入して監視・指導を強化、迅速化するように求めた。不実証広告規制とは、違反の疑いのある表示があった際に、行政が事業者に対して、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を一定期間(景表法は15日間)内に提出するよう求めることができる制度。事業者が当該資料を期間内に提出できない場合は、不当表示があったとみなされる。
 また、健康増進法違反の要件である「著しく事実に相違する表示」「著しく人を誤認させるような表示」の「著しく」という文言を削除するよう注文を付けた。
 建議書は、今年3月に開催された専門調査会でまとめた報告書案の内容を基に作成した。
 消費者庁は今年10月までに進捗状況を消費者委員会に報告する。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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