消費者委員会/「チャット勧誘」「SNS取引」課題に/第8次消費者委員会が発足(2023年9月7日号)

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 消費者委員会は9月1日、第8次消費者委員会委員を発表した。弁護士の黒木和彰委員と慶応義塾大学教授の星野崇宏委員が再任。他の8人の委員は、新たに選出された。8月24日開催の本会議では、第7次消費者委員会のこれまでの活動と、次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項を発表。当面の主要課題として、「チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する意見」や、「SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議」への対応状況について、フォローアップする必要があるとしている。フォローアップにおいては、既存の下部組織等の再開や、新たな下部組織の新設を含め、関係行政機関の取り組みの監視などを行うことの必要性を指摘している。

 21年9月に発足した第7次消費者委員会は、23年8月末に任期満了を迎えた。第7次消費者委員会では、建議や提言、意見を計12件。諮問に応じた答申を19件発出した。
 23年9月に発足する第8次委員会については、引き続きテレビ会議システムを活用し、オンラインと対面を併用しながら会議を進めていく方針だとしている。
 広報の取り組みについて、新たな手段の活用を含めた工夫が必要だとしており、消費者委員会の活動や成果などの認知を拡大させていくという。


■課題はデジタルの消費者問題

 当面の主要課題として、デジタル取引に関わる消費問題を挙げた。
 22年5月に施行された「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」の施行後の状況を注視するとともに、附帯決議で指摘された「CtoC取引への対応」「SNSを利用して行われる取引における消費者被害の実態把握」などへの対応状況についても、フォローアップする必要があるとしている。
 デジタル化の進展による新たな課題としては、「生成AI」「メタバース」などへの対応を挙げ、先手先手で対応することが重要であるとしている。
 成年年齢引き下げに伴う若年者への対応や、高齢者の対応についても、取り組みの実施状況を注視すべきとしている。
 23年8月には、総務省から「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」が発表されており、それに基づく通知も発出されている。
 成年後見制度に関する課題も含め、対応を注視する必要があるとしている。


■第8次委員は8人が新任

 9月1日に発表された第8次消費者委員会で新たに選出されたのは、奈良県立医科大学教授の今村知明氏、法政大学教授の大澤彩氏、東京家政学院大学教授の小野由美子氏、(公社)全国消費生活相談員協会の柿沼由佳氏、慶応義塾大学大学院教授の鹿野菜穂子氏、アクチュアリ代表の中田華寿子氏、京都大学教授の原田大樹氏、慶応義塾大学大学院教授の山本龍彦氏となっている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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