【インボイス】 施行まで1カ月、対応は二極化/「登録者のみ税込」か「経過措置期間は全員税込」(2023年9月7日号)

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「インボイス制度」への対応方法について

「インボイス制度」への対応方法について

 インボイス(適格請求書)制度の施行まで残り1カ月を切った。本紙が7月に行った訪問販売・ネットワークビジネス(NB)企業を対象にした調査では、インボイス制度への対応方法を「すでに決めている」と回答した事業者が、72.0%に上った。NB支援会社3社に取材したところ、3社とも、クライアントであるNB企業の8割以上が、インボイス制度への対応方針をすでに決めているということだった。対応方法は二極化している。「インボイス登録者には消費税分込の報酬を支払い、非登録者には税抜の報酬を支払う」という対応をするNB企業も一定数あるようだ。一方で、「登録の有無に関係なく、10月以降も消費税込の報酬を支払い、会社は経過措置期間の一定割合の仕入れ税額控除で対応する」というNB企業も少なからずある。公正取引委員会では、非登録者に対して消費税分を一方的にカットすることについては、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当する可能性があるとの見方を示している。非登録者に対する税抜報酬支払いを予定しているNB各社は、販売員や会員から反発が生まれないよう、通知を行うなど、対応を行っているようだ。

■小規模事業者では様子見も

 本紙が7月に行ったアンケート調査では、インボイス制度について、25社が回答。対応方法を「すでに決めている」と回答したのが18社(72.0%)だった。「これから決める」が3社(12.0%)、「特に対応はしない」が3社(8.0%)、「分からない」が3社(8.0%)だった。
 対応方法を複数回答可で聞いたところ、「インボイス登録者には消費税分込の報酬を支払い、非登録者には消費税分を支払わない」が6社(27.2%)で最多。「一定条件をクリアした販売員・会員にインボイス登録を勧める」が5社(22.7%)、「全販売員・会員に登録を勧める」が2社(9.0%)だった。
 新制度について、「特に対応はしない」と回答した3社のうち2社は、「登録の有無を問わず、現状通りに支払う」と回答。1社は、「登録した会員の消費税分は本社側で負担する」と回答した。
 「インボイス登録者には消費税分込の報酬を支払い、非登録者には消費税分を支払わない」と回答した6社にヒアリングしたところ、連絡がついた5社は「10月1日から、経過措置期間に関わらず、非登録者には消費税分10%を全額支払わない」という旨の回答をした。
 その内1社は、「すでにインボイスの請求書番号の受け付けを開始しているが、申告数は非常に少ない。メンバーは皆さん自分が個人事業主だと理解しているので、登録するか否かは任せている」(健康商材NB)としている。


■ポーラは「全員に税込支払い」

 ポーラ(本社東京都)ではインボイス制度への対応について、「インボイス登録の有無を問わず、10月1日以降も消費税分込で手数料を支払う」という方針を決めていることを明らかにした。
 「インボイス登録に協力してくれるビジネスパートナー(オーナーマネージャー・ビューティーディレクター)については、一部インセンティブでメリットを設ける対応をしている。なるべく多くのビジネスパートナーに、インボイス登録に協力してもらえるよう、呼びかけを続けていく」(ブランドコミュニケーション部)と話している。
 ポーラでは8月31日時点で、主要なビューティーディレクターの約7割が、インボイスに登録を済ませているという。


■8割が「登録者にのみ支払う」

 NBの総合支援事業を中心に各種ソリューションビジネスを展開するマーベリック(本社京都府)によると、クライアントのNB企業の約8割が、「インボイス登録者には消費税分込の報酬を支払い、非登録者には消費税分を支払わない」という方針を決めているという。大手から中小まで、幅広い企業が同方針を採用しているとしている。
 一方、

(続きは、「日本流通産業新聞」9月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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