消費者委員会/「チャット勧誘に規制を」/通販の”不意打ち性”を対象に(2023年6月22日号)

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 消費者委員会は6月8日開催のワーキンググループで、チャットを利用した勧誘の規制等の在り方についての報告書をとりまとめた。不意打ち性があるチャット勧誘を規制の対象とし、書面交付義務やクーリング・オフ、不実告知などがあった際の取消権などを導入すべきだとした。
 規制の対象とすべきとしたのは、通販のうち「チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響に与えた」場合。今後は、チャット勧誘に限らず、同じような特徴を持つものであれば、包括的に規制の対象とすべきだとしている。
 事業者からチャット機能の利用を開始したケースだけでなく、消費者からチャット機能を開始した場合であっても、ホームページなどで勧誘の対象となる商品などの販売目的を告げていなかったときは、規制対象にすべきであるとした。
 考えられる規制の内容としては、(1)チャット勧誘に先立って、事業者名・販売目的等を明示する義務の導入(2)再勧誘の禁止(3)チャット内での、不実告知・故意の重要事実不告知、適合性原則違反、解約妨害等の禁止(4)不実告知等があった際の取消権の導入(5)書面交付義務、クーリング・オフの導入─の5点を挙げた。不意打ち性のないチャット勧誘に関しては、現行通りの形での特商法の運用を想定しているという。
 公益社団法人日本通信販売協会(JADMA、事務局東京都)の万場徹専務理事は過去のWGなどで、「通販のチャット規制」について、「チャットを用いた作業全般に支障をきたす可能性がある。過剰規制になるのではないか」と懸念を示していた。その上で、「電話勧誘販売」とは違う、「チャット勧誘販売」という新たな取引類型を設けて、過不足ない独自の規制を行うべきと意見を述べていた。
 業界に及ぶ影響について、特商法に詳しい、さくら共同法律事務所の千原曜弁護士は、「チャットによるビジネスは、訪問販売や電話勧誘販売と同様、悪質事業者が出る可能性がある分野。既存の法律で規制できない以上、規制は必要だ。だが正規の事業者でこのような手法を大々的に行っている事業者は多くないだろう。一般的な事業者に、大きな影響はないのではないか」としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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