【住設企業のコンプライアンス対策】法令順守の徹底・強化が急務/住設関連の行政処分相次ぐ(2023年6月22日号)

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日本ガスが5月25日に公表した消費者庁からの行政処分通知

日本ガスが5月25日に公表した消費者庁からの行政処分通知

 23年は、住設関連の行政処分が相次いでいる。本紙の調査によると、6月までに訪問販売による住設関連企業の処分件数は7件だった。大手や有力企業の処分もあり、直近では5月25日に電気・ガスを訪問販売する日本瓦斯(ニチガス)が特定商取引法に基づき3カ月間の業務停止命令を受けた。相次ぐ処分の背景には、特商法の知識が乏しい企業が多い実態もある。特商法の順守を徹底している住設訪販会社からは「粗悪で、悪徳な会社が増えた」と嘆きの声も漏れる。「脱炭素社会」の実現に向け、住宅産業への期待は大きい。住設業界全体で、法令順守の一層の徹底と取り組みの強化が急がれる。

■委託の業務は魅力的

 5月25日の日本瓦斯(ニチガス)に対する3カ月間の業務停止命令について、消費者庁は、特商法違反内容として「勧誘目的不明示」「再勧誘」「不実告知」を指摘した。
 本紙の取材によると、ニチガスが業務委託している事業者の勧誘行為についての処分はなかった。自社だけが処分を受けたことを、どう捉えるかとニチガスに聞くと、「今回処分を受けた事案で、業務委託先に勧誘行為があったのは事実。現時点では詳細は差し控えるが、その認識はたしかにある」と回答した。
 この「業務委託」は、住設訪販会社の間で珍しいものではなく、専門的に請け負う会社もある。大手のインフラ会社やハウスメーカーなど、相性が良い企業からの委託は営業活動がしやすい特徴がある。
 委託先を選ぶ際の条件や審査は厳しいとされるが、企業によって基準が異なる。本部が委託先を一括管理したり、支店やエリアで管理したりとケース・バイ・ケースで行われているようだ。
 住設訪販企業とって委託先に選ばれることは魅力的だ。
 委託先として訪問する顧客は決まっており、飛び込みや電話による新規顧客開拓が必要ない。
 また、ここ1年の電気料金の上昇で、住設訪販各社は、電気料金削減についての営業は、経験を積んでいる。消費者も光熱費の削減に関する関心が高いため、営業機会のタイミングがいいようだ。
 ただ、セールストークが過剰になっている傾向もあり、より慎重な営業活動が求められる。
 5月11日に処分されたCDエナジーダイレクトは、中部電力ミライズと大阪ガスの出資会社だ。業務を請け負っている点ではニチガスと類似している。
 住設訪販各社が特商法の知識を高め、教育を再徹底するのはもちろんだが、委託する側には、法律の知識や教育について熟知した上で、委託先の選定することが求められる。


■小規模企業に目立つ処分

 住設訪販会社の行政処分は従来から、従業員数が10人以下の小規模事業者の場合が多い。
 小規模企業の処分が多い理由について、一人でも営業が成り立ってしまう点が指摘されている。
 訪販会社に従事し、営業キャリアを積んできた人が独立したケースは多くある。営業マンから独立した経営者は、法律や経営に関する知識に乏しいことがある。また、会社に属していた時に比べて、顧客の受け取り方が異なるため、独立してから営業が苦戦してしまうこともあるようだ。
 契約が思うように取れない焦りから、営業トークがつい過剰になってしまい、結果、行政処分につながってしまう悪循環がある。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月22日号で)

住設関連企業による特商法違反の処分(23年1月~6月)

住設関連企業による特商法違反の処分(23年1月~6月)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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