<アパレルEC> SNSの有効活用で成長/EC売上の7割がSNS経由の企業も(2023年5月18日号)

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アダストリアの次世代スタッフの教育体制

アダストリアの次世代スタッフの教育体制

 SNSを有効活用することにより、成長を遂げるアパレルEC企業が増えている。23年2月期におけるEC売上高が前期比28.7%増となったパルグループホールディングスでは、EC売上高の内、約7割がSNSの投稿経由だという。スタッフによるSNS活用を推進したことが成長の大きな要因となった。オンワードホールディングスでは、ECが主販路のD2Cブランドの売上高が、前期比17.0%増となった。同社では、SNSの活用によって、顧客接点を拡大しているという。

■フォロワー総数は950万人を突破

 パルグループホールディングスでは、23年2月期におけるEC売上高が前期比28.7%増の423億1600万円となった。好調の要因に、スタッフによるSNS活用があるという。EC売り上げの内約7割が、SNSの投稿経由の購入だとしている。
 同社ではスタッフ約1700人がSNSの個人アカウントで情報発信を行っているという。全アカウントを合計したフォロワー総数は、950万人を突破したそうだ。
 各SNSの投稿で、特に反応の良かった商品について、さらに集中的に発信する仕組みを作っているという。


■NG事項を明確化し各スタッフに任せる

 スタッフによるSNSでの発信は、折々に行う各プロモーションの効果の向上につながっているという。執行役員でプロモーション推進部部長・コミュニケーションデザイン室室長・WEB事業推進室室長を務める堀田覚氏は、「当社では『ECだけ伸ばす』という考え方はせず、全社的な成長を意識して、SNS活用に注力してきた」と話す。
 堀田氏は、「大変モチベーションが必要なことなので、強制ではなく、『やりたい』という人にSNSをやってもらうようにしている。投稿内容も、NG事項を明確にした上で、各自に任せるようにしている」と言う。「SNS広告は差別化が難しい。だからこそ、『個人』の発信が重要だと考えている。うまい・下手ではなく、個人が『良い』と思ったものを発信する方が、商品の魅力が『伝わる』」と語った。 


■創意工夫の余白を残し挑戦を奨励

 アダストリアでは、SNSの総フォロワー数は、23年2月末時点で約300万人となっている。
 23年2月期における国内EC売上高が8.9%増の626億円となった同社でも、SNS活用において、発信するスタッフの自主性を尊重するスタイルを採っている。
 「ルール半分、自由半分」を意識し、スタッフが創意工夫する余白を残すことで、チャレンジを奨励しているのだそうだ。
 その結果、発信内容は、バラエティーに富んでいるという。商品紹介にとどまらず、体形のお悩み解決について発信するスタッフもいる。メーク動画をアップするケースもあるという。発信内容には、スタッフの個性が色濃くにじむ。顧客に多様な選択肢を提示できているため、フォローしてもらいやすいのだという。
 実際に店頭で顧客と接するスタッフが、顧客目線で、自分の個性を出しながら情報発信するため、発信内容のクオリティーが高くなるそうだ。


■SNS活用ブランドが17%成長

 オンワードホールディングスの23年2月期の国内EC売上高は、前期比9.5%増の447億9800万円だった。EC化率は同0.2ポイント増の30.0%となった。EC売上高に占める自社EC比率は85.9%と高水準となっている。

(続きは、「日本流通産業新聞」5月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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