【世界を変える「ChatGPT」】活用次第でEC事業成長に寄与も(2023年3月16日号)

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ChatGPTの回答一例

ChatGPTの回答一例

 AIチャットボット 「ChatGPT(チャットジーピーティー)」が、「世界を変える」と世間を賑わせている。ChatGPTは、マイクロソフトが多額の出資を行うOpenAI(オープンエーアイ、本社米国)が、22年11月に発表した自然言語生成AIだ。ユーザーが質問を入力すると、ChatGPTは非常に自然な文章で回答を生成する。人間と同様の、自然な言語処理を行うことができ、日本語にも対応している。一方、こうした自然言語生成AIには、誤った回答を行うリスクもあるようだ。グーグルが2月6日、自然言語生成AI「Bard(バード)」を発表したが、デモとして示した回答に誤りがあったため、グーグルの親会社であるアルファベットの株価は、一時期9%下落した。EC業界は、ChatGPTをどのように活用すべきか。弁護士2人に法的な問題点も確認しながら、その可能性を探った。

 今年の1月頃、ChatGPTに、「ChatGPTがEC業界に与える可能性を教えてください」と質問してみたところ、(1)チャットボットによる顧客対応(2)マーケティング・コンテンツの自動生成(3)商品説明の自動生成─ができるという回答があった。現在、実際にそうしたことを、ChatGPTを使って実現するサービスが、次々とリリースされるようになっている。


■FAQを自動生成

 オンライン接客プラットフォームの提供などを行うギブリー(本社東京都)は3月7日、FAQ(「よくある質問」の回答)を自動生成するAI―FAQサービス「PEP GPT」を3月下旬にリリースすると発表した。OpenAI社の各種APIと連携してサービス提供を行う。ChatGPTをはじめとしたGPT関連技術を用いれば、文書を要約・翻訳できるため、人の労力をほぼかけずにFAQを自動生成できる。「結果的に、問い合わせ応対が削減できる」(ギブリー取締役OperationDX部門長・山川雄志氏)としている。
 「複雑な商品には取扱説明書が付属されているが、消費者は『読むのが面倒なので電話して聞こう』となりがちだった。そのために増えるコールセンター側の負荷や、ユーザー側に発生する、電話がつながらないといったストレスを、AI-FAQサービスがあれば解決できる」(同)としている。
 電話応対中に「PEP GPT」で簡易に情報を検索できれば、サポートのスピードも上がる。コールセンター・サポートセンターでの顧客とのやりとりからマニュアルを自動生成することも可能だという。


■検索エンジンでの活用も

 マーケティングソリューションを提供するZETA(ゼータ、本社東京都)は今年1月26日、商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」のチャット拡張オプション「ZETA SEARCH CHAT EXTENSION」を、ChatGPTに対応させた。「ZETA SEARCH」では、入力情報に基づいて最適な情報を提案するが、ChatGPTの機能と組み合わせることで、チャットボット特有の機械的なやりとりがスムーズになり、店舗スタッフやオペレーターとの会話のような、自然なコミュニケーションの実現が期待できるという。


■作業時間を10分の1に短縮

 D2C・EC企業の支援を行うchipper(チッパー、本社東京都)は1月31日、ChatGPTのAI技術を活用したウェブメディア記事自動作成ツールのβ版「Creative Drive(クリエーティブドライブ)」をリリースした。今夏の正式リリースを目指している。SEOに効果的な記事を制作できる。記事制作の作業時間を従来の10分の1程度に圧縮できたケースもあるという。
 同社のCMO・奥村隆史氏は、「自社商材の専有性を有しているが、ライティングの知見・リソース、予算が不足しているため、記事執筆を通じたコンテンツマーケティングが実施できていなかったクライアントが、当社のサービスを利用することで、自社メディアをリリースできるようになった事例もある」と言う。「一方で、現在は実証段階の技術・ツールのため、誤字脱字・変換ミスのチェックだけでなく、ファクトチェックなども含め、活用者が自身で品質管理を、注意して行う必要がある」としている。


■薬機法・景表法などの広告規制に注目

 非常に便利なChat GPTだが、問題点もあると指摘されている。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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