【注目企業】VOLTA <蓄電池リサイクルを先導>(2023年1月12日新年特大号)

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家庭用蓄電池

家庭用蓄電池

 資源循環事業を手掛けるエンビプロ・ホールディングスのグループ会社で、リチウムイオン電池などのリサイクル事業を行うVOLTA(ボルタ、本社静岡県、今井健太社長)は、事業用および家庭用蓄電池のリサイクルを先導する企業の一つだ。
 同社では車に搭載している電池から、住宅などで使用する家庭用蓄電池まで幅広く請け負うリサイクルの受け口として事業展開している。
 家庭用蓄電池のリサイクルもメーカーなどから引き合いがあり、ある程度の量が見込める時点で対応している。使用済み蓄電池も受け入れており、数量は少ないものの受け入れ体制を完備している。
 同社の強みは、リサイクルのための設備にある。従来、蓄電池などのリサイクル工程は、部品ごとで異なり、それぞれ別の設備で対応する必要があった。多数の工程があるため、時間も相応にかかってしまう。しかし、同社はリサイクル工程を一気通貫にして、時間を大幅に短縮できる設備や技術を持っている。
 リサイクルは、加熱処理後に、破砕と選別を行う。原料として使えるものは、鉄鋼メーカーなどに販売する。費用は、基準単価もあるが、回収する種類によって市場価格が変動するのだという。
 同社が持つ技術やノウハウを活用して、他社との連携も進めている。22年12月には、三菱マテリアル(本社東京都)などと事業化を前提とした開発に着手。リチウムイオン電池のリサイクル工程で製造されるブラックマスを原料とし、リチウムやコバルト、ニッケルを回収・精製する湿式製錬技術の開発に取り組んでいくという。
 現状、日本では蓄電池のリサイクルが行える会社は極めて少ない。しかし、今後は確実に需要が増加することから、太陽光パネルに続き、蓄電池のリサイクルも必要不可欠なものとなる。

リサイクル方法の概要

リサイクル方法の概要

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