【日本果汁 河野聡代表取締役社長】 <「オランジェット」が百貨店で10万セット完売> ECでリピーター獲得、PRにも注力(2024年4月11日号)

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 かんきつ類など果物の加工品製造や販売の日本果汁(本社京都府、河野聡社長)は24年から一般消費者向けの商品提供に注力している。24年2月に販売した洋菓子ブランド「オランジェット」は、百貨店での販売で10万セットを完売するなど好調だ。年初に開設したECサイトにはリピーターが訪れており、順調なスタートを切っている。今後さらに注力する直販展開について、河野聡社長に聞いた。

 ─会社の事業について教えてほしい。
 食品メーカー向けに、食品原料として果汁などを販売している。日本全国から果実や野菜を調達して、自社工場で製造している。果汁、ピューレ、ペースト、プレパレーション、糖漬品、乾燥品、糖液、エキス、オイルなど商品は多岐に渡る。
 一般向けの商品展開も始めており、果汁を生かしたジュースのほか、オリジナルスイーツ「オランジェット」(税込2862円~)を販売している。
 生産者と直接取り引きしており、小ロットでの搾汁にも対応しているため、取り扱うかんきつ類の種類が豊富なのが当社の強みだ。直接取り引きでは、適正価格で果実を継続購入してきたこともあり、農家との関係構築も良好に進めている。
 ─自社オリジナルブランド展開の経緯は。
 当社はこれまで、業務用の卸販売やOEMが主力だった。そうした中で、生産者との関わりの中で拡充してきたかんきつ類のラインアップを生かし、自社商品を展開するため、一般消費者向けの商品開発に着手した。
 また、当社は生産者にフォーカスして商品を訴求していきたいという思いがある。ホームページには読み物コンテンツを設けて、生産者の顔を知ってもらう取り組みにも力を注いでいる。
 自社商品の開発に際しては、食材やパッケージにこだわっている。例えば、「オランジェット」では、果物に合うチョコレートを吟味し、パッケージは草木の色合いを意識して作った。
 当社の商品は、ヘタや黒点を取る作業のほか、砂糖漬けや乾燥まで、工程のなかで手作業が欠かせない。そのため原価が高くなってしまうが、手を掛けた分、上質な商品に仕上がっている。
 ─オリジナル商品の反響は。
 「オランジェット」シリーズは、果物の銘柄を知っていて感度が高いという百貨店の利用者層にマッチして売れ行きが好調だった。用意した約10万セットが完売し、百貨店での売れ筋ランキングでも上位に食い込むことができた。
 SNSでも反響があり、認知を拡大することに成功した。百貨店での販売が終了した後、会社への問い合わせが想像以上に多く、正直驚いている。
 主な購買層は、30~40代の女性だが、男性のユーザーも少なくない。複数のセットで大量に購入するユーザーもいる。
 中には「以前に旅行したところ」「行ったことのない場所」など、産地にこだわって選ぶユーザーも少なくないようだ。
 ─EC展開について。

(続きは、「日本ネット経済新聞」4月11日号で)

<プロフィール>
 山口県・周防大島生まれ。大学では農学部で食品化学を学ぶ。卒業後に就職した食品会社で出会った恩師の影響を受け、2010年に日本果汁を立ち上げ事業を開始した。百貨店で展開した「オランジェット」の販売が好調で、今後ECでの直販にも注力していく。

オリジナルスイーツ「オランジェット」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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