【ポーラ】 〈顧客管理の仕組みをリニューアル〉 中村俊之販売戦略部部長/サロン・ECの顧客IDを統合、OMO推進(2023年7月5日号)

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 大手化粧品メーカーのポーラ(本社東京都、及川美紀社長)は4月、会員となった顧客を管理する仕組みをリニューアルした。サロン・百貨店・ECの三つのチャネルで過去に購入したことがある顧客の情報を統合。顧客が別のチャネルを利用するとき、過去の購入履歴を閲覧できるようになった。サロンの販売員は、顧客の別チャネルでの購入履歴や肌分析結果を基に、商品提案を行うこともできるようになった。顧客情報の統合やポーラのOMO戦略などについて、販売戦略部の中村俊之部長に聞いた。

■顧客の個性尊重しLTV高める

 ─ポーラの中でどの部門を主管しているか。
 私は現在、ポーラの販売チャネルを横断的に見て、顧客戦略を立てている。
 以前までブランドコミュニケーションやEC事業を主管してきたが、ECは一つの事業部として独立した。
 ─新しいメンバーシッププログラムについて聞きたい。
 新メンバーシッププログラム「ポーラ プレミアムパス」の目的は、どのチャネルで購入いただくお客さまにとっても、より良い購買体験を提供するとともに、豊かな時間をお届けできるようにすることだ。顧客体験を起点に考えたOMOのモデルだ。
 コロナ禍を経て、デジタルで消費者と企業が接触するのが当たり前の時代になった。その中で、ポーラの独自の強みである対面接客の価値を昇華させたいと考えていた。
 「プレミアムパス」では、販売チャネルにとらわれず、サロン・百貨店・ECの3事業のIDを共通化した。お客さまとポーラが、あらゆるタッチポイントでつながれるようにした。
 例えば、サロンのお客さまは、「プレミアムパス」のIDに自分のお気に入りの店舗を登録すると、ECサイトやアプリに、その店舗の情報が表示されるようになる。
 お客さまの過去の購入履歴も、チャネル横断で共有できる。店舗では、お客さまがECで購入した履歴を確認しながら接客ができる。お客さまは、アプリを使えば、サロンで肌分析データを確認することもできる。
 お客さま一人一人の個性・違いを尊重し、可能性を広げていただくための取り組みだ。この取り組みはポーラの顧客戦略の要である「LTV」の向上につながる重要な一歩だ。
 コロナ以降、お客さまを取り巻く環境は日々変化している。多様な価値観やライフスタイルが生まれており、購買行動においても、オンラインとオフラインの境目がなくなってきている。その時の自分の環境や気分に合わせて、お客さまがブランド接点を使い分けているのだ。
 お客さまをチャネルで区切るのではなく、横断的にお客さまを「個客」ととらえ、お客さまのニーズに合わせて対応していく。オンラインで接点を持ったお客さまにエステサービスやサロンを紹介することもあるし、百貨店のカウンターでカウンセリングを受けるよう案内することもある。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月5日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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