【MOON―X 長谷川晋代表取締役CEO】 〈ブランドのDX・成長支援、M&A事業を展開〉成長と雇用を生む「共創型M&A」展開(2022年10月13日号)

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 自社ブランドや他社ブランドのDX・成長支援、M&A(合併・買収)事業を手掛けるMOONーX(本社東京都、長谷川晋CEO)は、「共創型M&A」を提案している。「共創型M&A」は、同社独自の概念で、従来のM&Aと異なり、ブランド価値の向上や企業成長をともに目指していく仕組み。新たな雇用を生み、地域に貢献する好循環を生んでいるという。22年9月には、ECモールの有力店舗のケラッタ(本社長野県)を合併。MOONーXとケラッタのそれぞれが持つ強みを生かした展開を始めた。長谷川CEOに話を聞いた。

■ブランドと人の発射台

 ─「共創型M&A」について知りたい。
 当社のミッションは「ブランドと人の発射台となる」です。つまり、当社がM&Aした会社の成長をお手伝いするということ。共創型M&Aは、従来のM&Aのように、どちらかがもう一方に吸収合併されることとは対照的に、M&Aをされる側の強みとM&Aをする側の強みでシナジーを生み出していくことが前提です。ベストなパートナーシップの形を模索し、永続的なブランドを築いていくことが狙いです。分かりやすく言えば、当社のファミリーになってもらうということです。
 M&Aをした会社に対して、当社の人材やノウハウを提供し、相手側の成長をさらに加速させていきます。M&A後も、従来のままサイト運営などを行ってもらいつつ、技術的に足りない、デジタルマーケティングやブランディングなど不足している部分を当社が補って支援していきます。
 当社には、私だけでなく、それぞれの領域において最前線で活躍してきた人材が在籍しており、企業を支援できる専門集団であることが強みです。19年8月に創業して現在は4期目に入ります。今年は、さらにM&A事業を中心に攻勢をかけていきます。
 通販EC業界も含め、昨今は流行のスピードの変化が早く、旬の入れ替わりが激しくなっています。旬なアイテムが出て人気が出たと思えば、いつの間にか廃れてしまっているということが多くあります。つまり、これからの時代は変化に対応できる柔軟性だけでなく、対応していく早さも求められます。極端な例ですが、従来は30年程度かかっていたものを共創型M&Aを通じて、3年で実装していくぐらいの感覚を持って対応する必要があるとさえ感じています。
 ─M&Aを行う上での基準は。
 ベースは通販EC領域にいる企業です。その中でも、特にECにおいて、どれぐらい継続性のある形で消費者に受け入れられているのか。この先に大きな広がりを想像できるのかなどです。企業の大小はあまり気にしていません。あくまでこの2点を主に見ています。
 M&Aの調査に関しては、直接問い合わせがくる場合もあれば、当社が探す場合もあります。大手EC企業の場合は有能な人材やスキルを持ち合わせていますが、こうしたところはごく一部。成長したいと思っていても、リソース不足に悩む企業が大半です。特に、地方企業は人材などが不足しています。良い商品があっても人材やスキルの問題で、成長したくてもできない場合があります。スキル不足や成長に悩む企業などは、当社と非常に相性が合うと思います。


■資金調達30億円目指す

 ─資金調達も積極的に実施されています。
 目指すは30億円です。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月13日号で)

【プロフィール】
長谷川晋(はせがわ・しん)
 2歳から9歳まで米国・シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、00年に東京海上火災へ入社し、法人営業担当。その後、P&Gに10年間勤務。楽天では、上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌した。15年にFacebook Japanの代表取締役に就任。在任中にInstagramの国内MAUを810万から3300万にした。19年8月に「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げるMOON―X Inc.を創業。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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