【ROSETIQUE JAPAN(ロゼティークジャパン) 堺美和子代表取締役】 「衣食住、花」を提唱生活必需品に (2022年2月17日号)

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 バラや種苗のネット販売や卸売りを手掛けるROSETIQUE JAPAN(ロゼティークジャパン、堺美和子代表取締役)は、「衣食住、花」を提唱している。花も生活の必需品として、多くの人に親しんでもらいたい考えだ。新種の花を開発する「育種家」の第一人者、今井清氏とタッグを組み、バラの種苗の販売拡大に乗り出している。国内だけにとどまらず、欧州や台湾など海外販路も拡大する予定だ。種苗が買い取られ、種苗をもとに生産者がバラを育て、ECや店頭への卸売りといった流通につなげていく。堺代表取締役に、今後の抱負や花の市場拡大に向けた思いを聞いた。

■コロナのいまこそ花を

 ─ECや店頭で、国産バラ、有機JAS認定農園の完全無農薬国産ローズエキスを使用した化粧品、ローズアロマグッズや花と菓子のコラボレーション商品などを販売しています。
 ECの販路はアマゾンで、20年5月から販売を開始しました。偶然にも国内でコロナ禍が本格化したタイミングでした。私が販売する花が好きでファンになってくださる方は、チョコレートに花をあしらったお菓子など、関連商品も買い回りしてくれます。EC上で「花のショッピングモール」ができた感覚で、全国の皆さまとつながる事ができてうれしく思います。
 コロナ禍のいまこそ、花に癒やされて親しんでほしいと考えます。心のバランスを崩しやすい時期だからです。長引く外出自粛、マスク生活、テレワークなど、コロナ禍ならではの環境の変化は枚挙にいとまがありません。私自身、双子の子どもの子育てに追われていたとき、いつの間にか、本能的に花に癒やしを求めるようになり、今なりわいとなっています。コロナ禍で、アロマやルームディフューザーの引き合いが増加していると聞きます。香りや花に癒やしを求めるのは、コロナ禍でも同じなのだと思います。本物のバラの香りの素晴らしさを広めていきたいです。
 ─ECでの売れ行きはどうですか。
 堅調に推移しています。メルマガなど、顧客との密なコミュニケーションに取り組んでいるわけではありませんが、私自身の活動が宣伝になっていると思います。私はフラワーデザイナー「Miwako(ミワコ)」として活動しています。20年4月に起業する前から、個人事業主として花業界で20年間活動を続けてきました。
 ECは商品ラインアップの拡充を予定しています。直近では、花とケーキをコラボレーションした商品やオリジナル天然ローズウォーターの販売を検討しています。
 ─花そのものだけでなく、花とコラボレーションした食品や化粧品なども取り扱っているのはなぜですか。
 日本では、手土産を持っていくとき、花よりも菓子折りなどを選ぶ人が多い。これを逆手に取り、「それならば、食べ物や商品に花をつけてしまおう」というアイデアから出発しました。
 花を買ったり、もらったりする機会は、「母の日」やプロポーズといった特別なときだけという人が多いと思います。日本人は特にその傾向が強いようです。私が提唱するのは「衣食住・花」。花も生活の必需品として、日ごろから親しんでほしいと考えています。生花はもちろん、当社が展開する食品や化粧品といった花とのコラボレーション商品も、花を楽しむことの一環として提供しています。


■異業種と花業界の架け橋に

 ─食品や化粧品にとどまらず、異業種との協業に積極的ですね。
 異業種との協業で、花が新しい層に広まった経験があることが大きいです。ネイキッド(本社東京都)が主催した花がモチーフの体験型デジタルアート展「FLOWERS BY NAKED.(フラワーズ バイ ネイキッド)」の監修に携わったことがきっかけでした。
 花とデジタルは一見、真逆の関係性にみえると思います。ところが、融合したときにものすごい化学反応が起きました。10~30代の、いわゆるデジタル世代が、「フラワーズ バイ ネイキッド」への来場をきっかけにファンになり、生花を購入して「初めて花を買いました」と言ってくれた人もいました。当時出会ったお客さまや仲間たちとはいまも親交があり、なかには私から花を学び花業界に入った人もいます。
 足元では、21年3月、東京・世田谷区にカフェ「ROSETIQUE CAFE(ロゼティーク カフェ)」を開店しました。ネスレネスプレッソ(本社東京都)と協業し開発した、「ロゼティーク」独自のフリーズドライエディブルフラワーを使用したコーヒーメニューを提供しています。


■バラの種苗ビジネスを世界で

 ─思い描いている海外展開は。
 私が花を学んだオランダ、ドイツ、フランスといった欧州に仕掛けていきたい。オランダは、10年に一度、花の国際園芸博覧会「フロリアード」が開催されるほどの世界一の園芸先進国であり世界のプラットフォームです。当社が扱うオリジナルバラの種苗を日本のバラとして卸売りし、現地の市場を通じて生産者に育ててもらい、流通してもらいたいです。この流通には、もちろんECも見込んでいます。ECはもはや、各国で欠かせない販促手段だと思っています。種苗を育てる規模は、日本と海外では全く異なります。海外では何ヘクタールという規模で栽培するので、一つの種苗が売れただけで、まとまった売り上げを確保できます。
 近く、台湾向けの販路を開拓する予定です。台湾は距離的に近いため、当社の商品輸出の他、国産バラの輸出も視野に入れています。
 ─バラの育種家(ローズメーカー)である、今井清氏とタッグを組んでいます。
 今井氏が育種したバラはいずれも、花姿が美しく、香りも優れています。こうした国産のバラの素晴らしさを国内外に広めていきたいという思いです。一方で、現在の日本市場では、海外品種のバラが大半を占めています。
 今井氏とは、21年1月に資本業務提携を結びました。今井氏は日本の新種バラ研究の第一人者で、日本を代表する育種家。先の「フロリアード」でも受賞経験を持っています。現在、全国のバラ生産者が今井氏産出の品種を栽培しています。
 日本では、海外に比べて、花の価値が軽んじられているように感じます。そうではなく、「『あの店舗』『あのデザイナー』『あの生産者』のファンだから、今日も花を買って帰りたい」「あの育種家が開発したバラを大切な人にプレゼントしたい」というように、価値向上につなげていきたい。一般企業や消費者への間口を広げていくことがひいては、花業界の市場拡大にもつながると考えています。


【プロフィール】
 欧米各国、主にフランスでフラワーアレンジメントを学ぶ。航空業界勤務を経て、00年からフラワーデザイナーとしてデビュー。大手百貨店などでプリザーブドフラワーの普及に努める。企業とのコラボレーション、商品プロデュースなど多数。20年4月にロゼティークジャパンを起業。現在に至る。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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