【ヘイ 佐藤祐介代表取締役CEO】 〈流通額約5倍に伸長〉実店舗のDX化待ったなし

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 ネットショップ作成サービス「STORES(ストアーズ)」などを手掛けるヘイ(本社東京都、佐藤裕介CEO)は、今年6月度の流通額が設立当初の18年2月度と比べて約5倍に伸長した。コロナ禍以降は「ストアーズ」をはじめとしたサービスの利用拡大がこれまで以上に堅調だ。デジタル化の波が実店舗事業者によるサービスの利用増加につながっている。佐藤祐介代表取締役CEOに、今後焦点とする施策や流通額拡大に向けた思いを聞いた。

■デジタル化の意識浸透

 ─コロナ禍で、「ストアーズ」の新規導入や既存ユーザーの利用拡大が進んでいる。
 過去の傾向では、ネットショップ開設サービスの利用は、「インターネットで何かしてみよう」とネットから事業を始める人の構成比が非常に高かった。多額の初期投資が必要となる実店舗の開設と違い、ネット上で少額から始められるからだ。
 コロナ禍に突入した昨年2月ごろから、地元で10年、20年と実店舗を持って経営してきた方々がデジタル販路に目を向けていくようになり、気運が大きく変わった。当社が提供するサービスの需要が拡大したのは間違いない。
 コロナを契機に実店舗の来店客が減少し、「デジタルの販路を開拓していないと、売り上げが減ってしまう」というような概念の変化が起こった。これまで実店舗のみで販売していた人は、「デジタルは面倒くさい」「ややこしそう」「難しいからやらなくていい」といった心理的なハードルがあった。また、地元で実店舗を営む人は商圏の中でよく来てくれる得意客などがいて、商売が成り立っていた。「インターネットで事業をやる人は野心がある人。いまある売り上げに対して純増分を作っていきたいからインターネットをやるもの」というイメージがあったと思う。
 収益を増やしたいかどうかは事業者の気持ち次第だが、減ってしまうのは誰でも嫌だと思う。そのため現在は「デジタルの販路に取り組まなければいけない」という考えが当たり前になりつつある。
 ─複数のサービスを併用する顧客も増えているのか。
 増えている。「ネットショップだけ」とか「キャッシュレスだけ」取り組むというよりは、さまざまな方向から「ちゃんとデジタルに対応しよう」というムードになっているように思う。「ネットショップだけではなくて、予約管理も自分たちでできたほうがいい」と考える人も多い。「『ストアーズ』の使い勝手が良いから、予約システムの『ストアーズ予約』も導入してみよう」とか、「専用の端末を用いてキャッシュレス決済ができる『ストアーズ決済』も使ってみようかな」という方は増えている。


■フォロー体制を強化

 ─今後の新規獲得施策や既存顧客のフォロー体制など教えてほしい。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月1日号で)

〈プロフィール〉
佐藤祐介(さとう・ゆうすけ)氏
 08年、グーグルに入社し、広告製品を担当。10年末、COOとしてマーケティングプラットフォームなどを提供するフリークアウトの創業に参画。マッチングサービスなどを手掛けるイグニスの取締役にも就任。14年6月にはフリークアウト、イグニスはマザーズ上場。17年1月、フリークアウト・ホールディングス共同代表に就任。エンジェル投資家としても活動。18年2月にヘイに入社し、現職に就任。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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