【楽天市場「共通の送料無料ライン」】 沖縄・離島向け9800円に/ガイドライン制定、当初は”罰則なし”か

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今年8月に三木谷浩史社長が「共通の送料無料ライン」を“3980円“にすると発表した

今年8月に三木谷浩史社長が「共通の送料無料ライン」を“3980円“にすると発表した

 楽天は10月31日、来年2月以降に「楽天市場」で導入を予定している「共通の送料無料ライン」のガイドラインを制定した。今年8月の発表時には、配送先は全国どこでも送料無料ラインを「注文金額3980円以上」に設定する計画だった。しかし、出店者の声をもとに再検討し、沖縄・離島に配送する商品の送料無料ラインは、「注文金額9800円以上」に変更した。ガイドラインでは詳細なルールを紹介している。ガイドラインには違反店舗に対する罰則規定が記載されていないため、導入当初は違反店舗に罰則を科さず、猶予期間を設ける可能性もある。

 楽天は8月1日、グループの総合イベント「RakutenOPTIMISM(ラクテンオプティミズム)2019」において、「楽天市場」の送料無料ラインを「注文金額3980円以上」に統一すると発表した。来年2~3月に開始する予定。三木谷浩史社長は「送料無料ラインの統一化がなければ、楽天市場と店舗がともに成長していくことは困難」と説明した。
 送料無料ラインとは、注文金額に応じて購入者の送料負担を0円にするサービスのこと。今年1月の新春カンファレンスで三木谷社長が「送料無料ラインを統一する」と発表し、8月に具体的な設定金額を「注文金額3980円以上」にすると発表した。
 「3980円」を下回る設定は可能で、例えば「全品送料無料」「2980円以上の注文で送料無料」は問題ない。
 他にも(1)1店舗のみの注文金額の合計が対象(2)160サイズ以下の商品が対象(3)冷蔵・冷凍商品や大型商品は対象外(4)沖縄・離島への配送は対象─と説明していた。


■出店者の声から検討

 楽天は8月の発表後、出店者の声を積極的にヒアリングした。全国各地で「楽天タウンミーティング」を開催したり、楽天のECコンサルタント(ECC)による聞き取りを実施した。
 楽天によると出店者からは「特に遠方への配送に関するご要望を多くいただいた」と言う。
 「実際に沖縄や離島などへの配送にかかるコストが、通常の配送料金と大きく異なることから社内で検討を進め、配送先が沖縄・離島の注文については、共通の送料無料ラインを『注文金額9800円(税込)以上』とすることにした」(楽天)と説明する。
 出店者からの声が多かったから変更したのではなく、声をもとに再検討し、変更の必要性を感じたという。
 「出店者さまとは継続的に対話したり、さまざまなチャネルを通じていただいた声を参考にさせていただき、店舗・ユーザーの双方にとってより良い施策となるよう、細部の検討を重ねていく」(同)と、今後も慎重に検討する方針を説明する。


■猶予期間を設定か

 「共通の送料無料ライン」の正式な導入時期はまだ分からない。ガイドラインには違反店に対する罰則規定は書かれていない。
 「商品画像登録ガイドライン」の改訂の際も、18年1月にガイドラインを制定し、同10月から必須化したものの、違反店舗への違反点数の加点は19年1月以降に開始した。ガイドライン制定から罰則規定の設定まで猶予期間を設け、出店者がスムーズに新制度に対応できるように配慮していた。
 今回、「共通の送料無料ライン」においても開始当初は罰則を科さず、猶予期間を設ける可能性がある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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