楽天/19年度中に配送実用化へ/ドローン目視外飛行実験を初公開

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鉄塔に沿って自動飛行するドローン

 楽天は1月25日、ドローンによる消費者への商品の配送を、20年3月末までに国内の山間部や離島などの過疎地でサービス化することを発表した。山間部に住んでいて買い物に行くことが困難な高齢者などに対して、ドローンが自動で飛行して商品を配送できるようにする。1月25日には埼玉県秩父市で、スマホアプリを使ったドローン配送の実証実験を公開した。補助者の目視外での自動の飛行実験の公開は初となる。

■専用アプリで注文
 同サービスはこれまで、楽天と地図情報大手のゼンリン、東京電力ベンチャーズ(本社東京都)の3者で開発と実証実験を進めてきた。楽天が開発したドローンが飛行する空路を、東京電力の持つ電線の鉄塔の上空に設定。ゼンリンが全国の地図と鉄塔の情報をクラウド上で管理し、ドローンにフィードバックする。17年3月に3社の提携を発表し、秩父市や南相馬市などで実証実験を重ねてきた。
 25日の実証実験では、ドローン配送が実用化された際の実際の流れを公開した。秩父市の浦山ダム近辺のキャンプ場で、消費者がキャンプに必要な紙皿を注文する状況を想定。浦山ダムの管理所から3キロメートル離れたキャンプ場までドローンが注文された商品を運んだ。
 ドローンによる配送を利用するにはまず、楽天が開発した専用のショッピングアプリで商品を注文する。ショッピングアプリでは、消費者がカートに入れた商品がドローンの積載可能重量かどうかも把握できる。商品が注文されると、ドローンの拠点のスタッフが商品を積み込み、タブレットの専用アプリでドローンを離陸させる。ドローンは離陸すると、自動で3キロメートル先の着陸地点まで、鉄塔に沿って飛行した。ドローンは着陸時に、あらかじめ登録された着陸地点の画像をカメラで認識して着陸する。着陸後は商品を切り離して、拠点に自動で戻る。
 消費者は、ドローンが、リアルタイムでどの位置を飛行しているのかを、ショッピングアプリの地図情報で見ることができる。

■ドローン配送を定期運航
 実験終了後の会見で、楽天の新サービス開発カンパニー事業企画部の向井秀明ジェネラルマネージャーは、20年3月末までに、ドローンの配送サービスの提供を、山間部や離島などの過疎地で開始することを発表した。
 サービス開始に向けてドローンの技術整備や、自治体との連携を進めていく考え。サービス開始後は、ドローン配送の定期運航を行っていくという。地域のコンビニエンスストアなどにドローンの拠点を設置するする予定だ。同サービスの運用状況を確認する中で、イニシャルコストとランニングコストを把握し、ほかの地域でもサービス提供が可能かを探っていくとしている。実際にサービスを開始する場所や詳細は未定だという。
 ドローン配送の実用化に向けては課題が多い。楽天が運用しているドローンの可能積載量は最大で2キログラム。気象による影響を受けやすく、風速が毎秒10メートルを超えたり、小雨でも雨が降ったりすれば、飛行を中止するとしている。
 ただ、向井ジェネラルマネージャーは「ドローンに防滴の技術を採用し、小雨でも飛行できるかを模索中だ」としており、技術的な課題の解決が進めば、ドローン配送の実用化が一気に加速する可能性は高い。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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