〈”宅配危機”次の一手〉 「AI活用」「セット割引」など/中小企業は倉庫内数値管理も必要

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楽天はAIを活用した独自の物流網をつくる

楽天はAIを活用した独自の物流網をつくる

 宅配便大手3社は昨年から軒並み運賃を値上げしたが、今後も配送料の上昇傾向は変わらない。EC企業は高まる配送料を当たり前のものとして捉え、対抗策を練る必要がある。人工知能(AI)を活用した配送効率向上や、DM発送と組み合わせたディスカウントなど新たなサービスも出ている。物流体制の整備が遅れている中小企業は、倉庫内の数値管理から始める必要もありそうだ。

■AIが物流最適化

 スタークスは3月、発送代行サービスをリニューアルし、新サービス「クラウドロジ」の提供を開始した。リニューアルの目玉は”AI”だ。
 スタークスは全国に14拠点の提携倉庫を設けている。AIによる需要予測を用いて、購入者の近くに在庫を保管しておくことで、配送料金を抑えることができるという。
 在庫が分散すると管理の手間がかさむようにみえるが、同社は物流業務をシステム化しているため、どこに在庫があっても一元的に管理できる。需要地の近くに在庫を持つことでリードタイムも短縮でき、顧客満足度向上にもつながるとみている。
 楽天も1月、AIが配送効率を最適化する、独自の物流サービスを2年以内に提供すると発表した。商品の注文から配達までを楽天のプラットフォーム上で管理し、AIを駆使することで配送の最適化を図れるようにする。
 AI活用を進めている大手企業もある。AIが配送効率をどれほど高めてくれるかは未知数な部分が多い。ただ、AIの活躍の場が物流にも広がるのは間違いなさそうだ。


■DMと合わせて提案

 DMの発送代行大手のタウンズポスト(本社福岡県、飯田剛也社長)は、商品の発送代行サービスも本格的に展開する。埼玉の老舗倉庫会社と提携し、低価格の配送料金を提供するだけでなく、DMの発送と組み合わせたトータルでのコスト改善を提案する。
 「昨秋から宅配運賃が値上がりし、全国的に60サイズの配送運賃は550〜700円になったと思う。大手通販企業ならば60サイズの運賃は400円代の後半。当社も老舗倉庫会社と提携することで大手通販企業並みの運賃を提案できる。さらに、DMの発送代行とトータルで安くすることも可能。DMを増やして注文が増えれば、出荷が増えるため、DM分は赤字で提案しても良い」(飯田社長)と話す。
 倉庫の移設が難しい場合は、埼玉の提携倉庫を経由した発送も可能。関東に物流拠点がある企業は、倉庫は移さず発送だけを請け負うこともできるという。

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月29日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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