北海道のEC/海外販売に活気づく/需要分析、説明など独自の工夫

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
台湾の「楽天市場」に出店している「ZIP CLOTHING STORE」

台湾の「楽天市場」に出店している「ZIP CLOTHING STORE」

 北海道のEC事業者の海外販売が活気づいている。円高や中国の関税引き上げの影響を受ける事業者も少なくない中、ニーズを探る力やサイト上での説明など独自の工夫で売り上げ拡大を続けている。売り上げが順調なEC事業者には、海外に売っていくための姿勢が共通の強みになっているようだ。


■楽天で先駆者的存在

 「楽天市場」の出店者の中で、北海道を拠点にして海外販売を順調に伸ばしている事業者が増えている。北海道は海外の人にも知られる名産品・特産品の宝庫だが、数年前まで「いいものはたくさんあってブランド力もあるが、売り方に課題がある」と話す道内のEC事業者は多かった。
 他方で、レジャーや観光で海外からの観光客が増え、北海道の海産物などの特産品に対する注目と需要が増加。北海道ブランドはますます確立されている。
 しかし、北海道の事業者は特産品自体の持つ商品力とブランド力だけに頼らない「経営者の目」に強みがあるという。北海道のEC事業者について、楽天の城戸幸一郎執行役員は「観光客を自然に受け入れてきた土地だからこそ、経営者のおもてなしの心や道外、国外の顧客を相手にする目が秀でている」と分析する。
 特産品・名産品の海外販売で有名な「北海道お土産探検隊」(運営小笠原商店)。楽天の出店者の中でもいち早く香港から海外販売を開始したサイトだ。
 楽天とヤマト運輸が13年1月から始めた、冷凍便に対応した香港向け国際物流の第1弾店舗として参加。開始当初、小笠原商店の小笠原航社長自身が現地のヤマト運輸の配送に同行し、実際に現地の顧客から直接ニーズをくみ取ってきた。
 「北海道の特産品を世界で一番売る会社になる」という目標を掲げる同社は、海外販売の成功店舗として楽天内の先駆者的な存在となった。
 楽天では今年から、成功している店舗が他店舗のコンサルティングと育成を手助けし、1年以内に月商1000万円を目指す仕組み「R―Nations(アールネイションズ)が始まっている。コンサルタントとなる5店舗に「北海道お土産探検隊」も選ばれている。
 「当店にコンサルを依頼する店舗は海外販売も視野に入れていると考える」(小笠原社長)と話す。国内の「楽天市場」の運営についても親身にコンサルティングしながら、「北海道お土産探検隊」から教わる店舗は順調に売り上げを拡大しているという。


■現地法人が順調に拡大

 特産品に限らず、海外販売を伸ばしている道内の事業者は多い。ショップ・オブ・ザ・イヤーの受賞実績を持つメンズファッションの「ZIP CLOTHING STORE(ジップクロージングストア)」は台湾に現地法人を設立し、8年前に台湾の「楽天市場」に出店した。


(続きは、「日本ネット経済新聞」8月4日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ