ヤマトグループ/申込数は約3000件/EC支援システム「YES!」

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納品書と送り状を1枚の紙で出力するため、双方の付け合わせ作業は不要で誤出荷も妨げる。

納品書と送り状を1枚の紙で出力するため、双方の付け合わせ作業は不要で誤出荷も妨げる。

 ヤマトグループが15年6月1日から提供している、EC支援システムへの申込件数が約3000件に達している。受注管理システムと配送を基本パッケージとし、そのほかEC事業者の要望に合わせた各種サービスを標準搭載しているものだ。利用料は荷物を送った分の配送料だけで、初期費用や固定費はかからない。特にECを始めて間もない事業者や、これからECを手掛けようという事業者にとっては導入しやすいサービス内容となっている。
 ヤマトグループが提供するEC支援システムは「YES!(イエス)」。ヤマト運輸による配送に加え、グループ各社が持つ決済やロジスティクスといったEC支援に関連するサービスを網羅したものだ。
 「楽天市場」「ヤフーショッピング」など複数のECモールに出店する際の受注情報は、各モールから自動で読み込み、入力の手間を省く。納品書と送り状は1枚の紙に印刷して出力するため、双方の付け合わせ作業は不要で誤出荷も防げる。
 昨年6月のサービスリリース後、申し込みはあっても実際には利用されていないという稼働率が課題となっていた時期もあった。営業状況と利用者の声を反映して、昨秋以降から説明方法や操作性のリニューアルに着手。「サービスそのものを非常に分かりやすくして、使いやすいものに変更した」(ヤマト運輸営業推進部・西塔貴海氏)と説明する。
 具体的には、システム操作画面のレイアウトを大幅に変更。必要に応じてガイドが表示されるため、パソコンの知識が乏しくても操作しやすいようにした。特にヤマト運輸の「送り状発行ソフトB2」を利用しているEC事業者からは、「YES!」の利用で利便性が向上し、支持を集めている。
 代引き以外の決済や倉庫保管、大型商品配送などの各種オプションサービスも用意している。オプションの中で需要が高いのはロジスティクスで、出荷件数が少ないEC事業者でも出荷作業を委託して、商品の開発やサイトの見やすさを追求するEC事業者は少なくないという。
 弊紙6月9日号に掲載した「一元化理システム特集」によると、無料版も含めたアカウント取得数でトップなのは「YES!」だった。ただ、西塔氏によれば、「われわれが見ているのはシステムの領域ではなく、システムを含んだパッケージによる支援サービス」と語り、ヤマト運輸を利用しているすべての通販事業者に「YES!」を使ってほしいとしている。
 「ヤマトグループが目指しているのは、通販業界全体のインフラになりたいという思いがある。配送だけでなく、もっとEC事業者に寄り添って、出荷から帳票、モールの管理まで支援するのが『YES!』」(西塔氏)だと強調する。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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