キッチンや水回り、給湯器など住宅設備機器をEC展開する住設企業にとって、23年度は臨機応変な動きがいっそう求められる一年になりそうだ。コロナが沈静化し、住設メーカーの商品供給は回復してきたものの、物価高による消費マインドの低下、外出機会の増加による巣ごもり需要の縮小が影響を与えている。また、コロナ禍で住環境の改善に取り組んだユーザーの獲得が一巡しており、新規顧客の獲得は今までよりも難しい状況といえる。ただ、年明け以降の各社の売り上げは順調な推移を見せている。読みにくい市場動向を捉えながら、柔軟な対応も必要となっている。
■買い替え需要は堅調か
(一社)日本電機工業会(事務局東京都)が今年3月に発表した23年度の白物家電機器の国内出荷見通しによると、出荷額は前年比1.7%増の2兆6326億円だった。高付加価値製品の需要や製品単価の上昇が継続し、金額は前年度を上回る予測となった。また、外出機会の増加など消費行動のシフトが見込まれ、「買い替え需要」は堅調に推移するとした。
住設EC各社もエアコンやIH、食器洗い乾燥機など白物家電を多く販売しており、市場の動きには注目したい。
住設EC大手のライフワン(本社東京都、坂本貴志社長)の23年2―4月期(第1四半期)における売上高は、目標を上回る見通しだ。坂本社長は「前期の売り上げは127億円で、今期は150億円を目指している。今期の目標に対して第1四半期はクリアできるだろう」と話した。
住設ECのリンクシステム(本社埼玉県、小林一洋社長)は、23年2月から4月までの業績が前年実績を上回った。「コロナ後の需要があった」(小林社長)としている。
永野設備工業(本社大阪府)も今期はここまで順調に推移しており、永野祥司社長は「前期以上の売り上げを上げている」と話した。
住設ECの上場企業であるサンワカンパニー、交換できるくんは今後、決算発表を控えており、両社の業績に注目が集まる。
■売るタイミング見定め
コロナ禍が落ち着いてくるにつれ、住設メーカーによる商品供給は活発になってきたが、販売店からは供給がシビアになってきているとの声もあがる。
(続きは、「日本ネット経済新聞」4月27日・5月4日合併号で)
【住設EC】 上期売上は順調に推移/市場捉えた柔軟性求められる(2023年4月27日・5月4日合併号)
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