<百貨店・ギフトEC バレンタイン商戦>「ECは前年割れも」/リアル回帰進む、各社「自分用」を強化(2023年2月23日号)

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「三越伊勢丹オンラインストア」の「サロン・デュ・ショコラ2023」売り上げは前年比30%増に

「三越伊勢丹オンラインストア」の「サロン・デュ・ショコラ2023」売り上げは前年比30%増に

 今年のバレンタインデーのEC商戦、百貨店やギフト各社では、売り上げの明暗が分かれたようだ。リアル回帰の動きもあり、「ECは前年割れになった」という百貨店も多かった。一方で、三越伊勢丹ホールディングスのバレンタインイベント「サロン・デュ・ショコラ2023」のEC売り上げは、前年比30%増と好調だった。ギフトEC各社のECも好調に推移しており、ベルヴィではバレンタインのEC売り上げが前年比で19%増となったそうだ。

■リアル回帰、ECは成長鈍化

 百貨店業界のバレンタイン商戦では、リアル回帰の影響を受け、ECの成長が鈍化した企業が多かったようだ。
 高島屋のバレンタインECは、前年割れでの着地となったという。EC・リアルを含めたバレンタイン商戦全体では、前年比17%増と好調だったとしている。
 約900点の商品について、前年よりも前倒して、22年の12月中旬から販売を開始。早期購入の送料無料施策や、SNSでのキャンペーンを実施した。物価高騰下における「自分へのご褒美」を訴求したそうだ。
 阪急阪神百貨店(本社大阪府)のバレンタインの売り上げも、オフラインは前年比で増収となったものの、ECは前年比で減収だった。
 同社では、阪急百貨店と阪神百貨店で、連携して効率化を図りながら、効果的な訴求を行ったという。阪急百貨店では、数量限定品や人気キャラクター商材の品ぞろえを強化。臨時メルマガの配信本数を前年の1本から7本に一気に増やした。
 阪神百貨店では、MA(マーケティングオートメーション)によるメールの配信を積極的に実施。「洋菓子」「年中行事」に感度が高い層を中心に、4日に1回のペースでメールを配信したという。
 大丸松坂屋百貨店(本社東京都)のバレンタインECも、対前年比で減収となった。同社では、チョコレートだけでなくトレンドのクッキー缶や、カヌレ、バターサンドなど、焼き菓子を中心としたスイーツ全般に購入が拡大したとしている。
 そごう・西武(本社東京都)のバレンタイン商戦でも、ECの売上高は前年割れとなったそうだ。リアルの客足が回復したことが、ECの減収の一因となった。原料費の高騰などの影響で商品価格が10%ほど上がっていたが、EC・リアル会場含めた全体では、前年比で1割の増収を確保できたという。


■前年比30%増

 ECで苦戦する百貨店が多かった中で、ECを大きく伸ばすことに成功したのが、三越伊勢丹ホールディングスだ。自社ECサイト「三越伊勢丹オンラインストア」における、「サロン・デュ・ショコラ2023」の売り上げは、前年比30%増となった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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