〈中国EC市場〉 成長鈍化の「W11」で躍進した日本企業/複数プラットフォームに活路か(2022年12月1日号)

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「雅萌(ヤーマン)旗艦店」ライブの様子

「雅萌(ヤーマン)旗艦店」ライブの様子

 11月11日に終幕した、中国最大のECイベント「独身の日(W11、ダブルイレブン)」が、例年とは異なる様相を呈している。アリババやジンドンといった、中国の大手ECプラットフォーム運営企業が、毎年公開していた流通総額(GMV)を初めて非公開にした。同イベントに参加した日本国内の企業からも、売り上げが「横ばい」「微増」にとどまったとの声が少なからず聞かれた。急成長を続けてきていた中国EC市場が踊り場を迎えつつあることを感じさせた。そんな中、今回のW11で躍進した日本の事業者もいる。美容機器のヤーマンは、ライブ動画配信が好調で、業績予想を大幅に上方修正するほどの売り上げを上げたようだ。日本酒「日本盛」の販売本数は前期比で50%超の増加になったという。複数のプラットフォームの活用により、成長を遂げる企業もみられた。

 中国EC大手のアリババグループは10月24日から11月11日まで、第14回目となる「W11」を開催した。
 W11終幕後、アリババは、「昨年に引けをとらない流通総額を記録した」と発表した。 ジンドンも、「新記録を達成。伸び率は業界平均を上回った」と発表した。
 中国EC市場が依然として巨大マーケットであることには違いないが、大手プラットフォーム2社が急きょGMVの公表を取りやめたという事実からは、中国EC市場の踊り場感も漂う。


■5年連続の億元ブランドに

 そんな中、好調の日本企業もあったようだ。ヤーマンは、今年を含め、5年連続で「天猫」でのW11の累計の販売実績が1億人民元(1元=19円で計算、19億円)以上だったと発表した。同社は今年も昨年と同様、ライブコマースを中心に展開したという。
 ヤーマンは11月16日、23年4月期の22年5―10月期(中間期)の連結業績予想を上方修正すると発表した。修正後の予想売上高は前回予想比45億6800万円増の265億6800万円。同社では大幅な上方修正の理由として、「中国国内向けの販売が想定以上に好調であった」ことを挙げている。中国ECの6月の大型ECイベント「618」だけでなく、「W11」に向けた出荷も好調で、売り上げの伸長に寄与したそうだ。
 ライブコマースが好調だったのはヤーマンだけではない。アリババもライブコマースの盛況ぶりをレポートしている。アリババが運営する「タオバオライブ」のライブコマースはW11中、3億人以上の消費者に視聴されたという。タオバオライブはECモール「タオバオ」「天猫」のアプリ内に組み込まれている。


■日本酒1万6000本

 日本盛(本社兵庫県)の日本酒ブランド「日本盛」は、W11期間中の販売本数が、前期比50%増に当たる1万6000本を突破したという。「日本盛」の販売・販促は、中国市場開拓支援サービスを提供するACD(本社東京都)が代行したという。ACDにはANAホールディングスが出資している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月1日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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