【EC企業のカスタマーサポート】 「AI」か「人」か/議論白熱、最適解は”ハイブリッド”(2022年11月17日号)

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KDDIエボルバ 経営戦略統括本部 若山真一郎副統括本部長

KDDIエボルバ 経営戦略統括本部 若山真一郎副統括本部長

 コロナ禍でのEC市場の拡大などに伴い、消費者と通販企業をつなぐカスタマーサポート(CS)が進化している。テクノロジーが進化し、「AI(人工知能)」を搭載した画期的なCSサービスを導入するEC企業は増えている。一方で従来通り「人」のコミュニケーション力を生かしたCSに注力するEC企業もある。EC市場の拡大が見込まれる中、CSにおいて、「『AI』と『人』のどちらが最適か」という議論は、今後も白熱しそうだ。EC企業が取り組むべき最善なCSの在り方についてまとめた。

 近年、消費者と企業とをつなぐCSにおいて、「AI」を活用したサービスが台頭している。自動応答プログラム「チャットボット」や、ウェブサイトに仮想人物が出現して対応する「アバター接客」など、日に日に先進的なサービスが現れている。
 CS支援のカラクリ(本社東京都、小田志門CEO)では、「AI」がサイト利用者の課題を先読みし、解決案を提示するウェブ接客ツール「KARAKURI hello(カラクリ ハロー)」が、クライアントから好評を得ているという。
 同サービスはチャットに蓄積した応対ログと行動ログを統合したデータから、サイト利用時に生じるユーザーの困り事をリアルタイムで予測し、解決策を提示する。消費者からの問い合わせ軽減につながるだけでなく、その場で消費者の困り事を解決できるため、顧客満足度の向上にも寄与している。
 「AI」を活用したサービスは、顧客対応の最前線・コールセンター業界でも幅広く利用されている。
 コンタクトセンターを中心としたBPOサービスを手掛けるKDDIエボルバ(本社東京都、若槻肇社長)は「ボイスボット(AI音声自動応答サービス)」を開発。大手飲料メーカーのカゴメの自社サービス「カゴメ健康直送便」に「ボイスボット」が導入されるなど、大手企業を中心に利用が続いている。
 「『ボイスボット』は『AI』の自動応対システムを活用した顧客対応専門の音声チャネル。『カゴメ健康直送便』の自動受け付け専用ダイヤルに電話が入ると、『ボイスボット』が自動で応対する。問い合わせの答えとなる情報を記しているページのURLをSMSで送付するため、その後の応対をオペレーターがいなくても課題解決に導くことができる」(経営戦略統括本部・若山真一郎副統括本部長)と説明する。
 この「ボイスボット」に似たサービスを開発し、クライアントに導入を勧めている企業は多い。
 だが、ある大手コールセンター企業によると、「オペレーターの負担軽減にはつながっているが、消費者の満足度向上につながっていると断言はできない。実際にアンケートを取ったことがあるが、『無機質で対応に寂しさを感じる』という声もあり、確実に多くの消費者に良い顧客対応を提供できているとは限らない」(A社)と話す。


■「人」重視も根強い

 一方で、CSにおいて「人」を重視する声も根強い。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月17日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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