〈消費者庁 概算要求〉 不当表示対策に2億円超/調査に「デジタルフォレンジック」導入(2022年9月15日号)

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PCのハードディスクやスマホも調査対象に

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 消費者庁はこのほど公開した、23年度の概算要求で新たに、「デジタル広告の不当表示への対応強化」の予算として2億2000万円を盛り込んだ。これにより、「消費者表示対策の推進」全体の要求額は、前年比2億1000万円増の3億6700万円となった。ウェブ広告などに対する、景品表示法などに基づく規制が大幅に強化される可能性がある。消費者庁によると、新規に計上した2億2000万円の内、2億円を不当なウェブ広告の監視業務の強化に充てるという。残りの2000万円は、景表法上の調査への「デジタルフォレンジック(※参照)」の導入に充てるとしている。9月9日には消費者庁が、ステルスマーケティング(ステマ)広告への新たな規制導入を目指す考えを発表した。年内にステマ広告規制の方向性をまとめるという(関連記事9面)。消費者庁の不当表示への締め付けが一層厳しくなりそうだ。

■指導件数大幅増も

 23年度の概算要求では、景表法を所管する表示対策課の予算として、前年並みの額を要求しつつ、不当表示への対応強化の予算として、新たに2億2000万円を要求している。
 概算要求がそのまま認められれば、2億2000万円のうち、2億円が、ウェブ広告の不当表示の監視業務の強化に充てられることになる。
 消費者庁ではこれまでも、広告の不当表示の監視を行ってきた。監視業務では、あらかじめ不当表示になりうる傾向を持つワードを設定し、審査する対象ページを無作為に抽出する。不当表示を発見した場合には、事業者に対して改善要請の指導・助言などを行っている。事業者が指導・助言に従わない場合は、措置命令などより厳しい処分に移行する可能性がある。悪質な違反事例については、指導・助言などを経ずに、いきなり措置命令などの行政処分を行うケースもあるという。
 ネットを使った広告の監視業務に基づき消費者庁が行った指導や助言の件数は、19年度が96件、20年度が109件、21年度が102件だった。100件前後で推移してきたことが分かる。
 消費者庁は「予算の増額によって、既存の広告監視のボリュームを増やす」(表示対策課)としている。23年度は、指導の件数が大幅に増加する可能性がある。


■改ざんデータの復元も

 消費者庁では、2000万円の予算をかけて、「デジタルフォレンジック」の導入に取り組む方針も示している。この導入によって、景表法の違反不当表示を行った企業に対する調査が、大幅に効率化される可能性がある。消費者庁では、不当表示に至った背景や表示期間などの情報を、収集・分析できるようにしたいとしている。
 

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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